更新日:2022年9月2日

租税特別措置法関係通達 40-12 公益の増進に著しく寄与するかどうかの判定

措令第25条の17第5項第1号に規定する「当該贈与又は遺贈が…公益の増進に著しく寄与する」かどうかの判定は、11《法令に違反する贈与等》に該当するものを除き、当該贈与又は遺贈に係る公益目的事業が公益の増進に著しく寄与するかどうかにより行うものとして取り扱う。

この場合の判定は、次に掲げる事項が、それぞれ次に掲げる要件を満たしているかどうかによるものとして取り扱う。

  • (1) 公益目的事業の規模

    当該贈与又は遺贈を受けた公益法人等の当該贈与又は遺贈に係る公益目的事業が、その事業の内容に応じ、その公益目的事業を行う地域又は分野において社会的存在として認識される程度の規模を有すること。

    この場合において、例えば、次のイからヌまでに掲げる事業がその公益法人等の主たる目的として行われているときは、当該事業は、社会的存在として認識される程度の規模を有するものに該当するものとして取り扱う。

    • イ 学校教育法昭和22年法律第26号第1条に規定する学校を設置運営する事業
    • ロ 社会福祉法第2条第2項各号及び第3項各号《定義》に規定する事業
    • ハ 更生保護事業法第2条第1項に規定する更生保護事業
    • ニ 宗教の普及その他教化育成に寄与することとなる事業
    • ホ 博物館法昭和26年法律第285号第2条第1項《定義》に規定する博物館を設置運営する事業

      (注) 上記の博物館は、博物館法第10条《登録》の規定による博物館としての登録を受けたものに限られているのであるから留意する。

    • ヘ 図書館法昭和25年法律第118号第2条第1項《定義》に規定する図書館を設置運営する事業
    • ト 30人以上の学生若しくは生徒以下「学生等」という。に対して学資の支給若しくは貸与をし、又はこれらの者の修学を援助するための寄宿舎を設置運営する事業学資の支給若しくは貸与の対象となる者又は寄宿舎の貸与の対象となる者が都道府県の範囲よりも狭い一定の地域内に住所を有する学生等若しくは当該一定の地域内に所在する学校の学生等に限定されているものを除く。
    • チ 科学技術その他の学術に関する研究を行うための施設以下「研究施設」という。を設置運営する事業又は当該学術に関する研究を行う者以下「研究者」という。に対して助成金を支給する事業助成金の支給の対象となる者が都道府県の範囲よりも狭い一定の地域内に住所を有する研究者又は当該一定の地域内に所在する研究施設の研究者に限定されているものを除く。
    • リ 学校教育法第124条に規定する専修学校又は同法第134条第1項に規定する各種学校を設置運営する事業で、次の要件を具備するもの
      • (イ) 同時に授業を受ける生徒定数は、原則として80人以上であること。
      • (ロ) 法人税法施行規則(昭和40年大蔵省令第12号)第7条第1号及び第2号《学校において行なう技芸の教授のうち収益事業に該当しないものの範囲》に定める要件
    • ヌ 医療法第1条の2第2項に規定する医療提供施設を設置運営する事業を営む法人で出資持分の定めのないものが行う事業が次の(イ)及び(ロ)の要件又は(ハ)の要件を満たすもの
      • (イ) 医療法施行規則昭和23年厚生省令第50号第30条の35の3第1項第1号ホ及び第2号《社会医療法人の認定要件》に定める要件この場合において、同号ロの判定に当たっては、介護保険法平成9年法律第123号の規定に基づく保険給付に係る収入金額を社会保険診療に係る収入に含めて差し支えないものとして取り扱う。
      • (ロ) その開設する医療提供施設のうち1以上のものが、その所在地の都道府県が定める医療法第30条の4第1項に規定する医療計画において同条第2項第2号に規定する医療連携体制に係る医療提供施設として記載及び公示されていること。
      • (ハ) 措令第39条の25第1項第1号《特定の医療法人の法人税率の特例》に規定する厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準
  • (2) 公益の分配

    当該贈与又は遺贈を受けた公益法人等の事業の遂行により与えられる公益が、それを必要とする者の現在又は将来における勤務先、職業などにより制限されることなく、公益を必要とするすべての者やむを得ない場合においてはこれらの者から公平に選出された者に与えられるなど公益の分配が適正に行われること。

  • (3) 事業の営利性

    当該公益法人等の当該贈与又は遺贈に係る公益目的事業について、その公益の対価がその事業の遂行に直接必要な経費と比べて過大でないことその他当該公益目的事業の運営が営利企業的に行われている事実がないこと。

    (注) 次に掲げる法人の事業の運営が営利企業的に行われている事実がないかどうかの判定は、当分の間、それぞれ次に掲げる法令の要件又は通達に準じて行うものとして取り扱う。

    • 1 専修学校又は各種学校の設置運営を目的とする学校法人等
      昭和35年5月26日付文管振第207号「準学校法人の認可基準の解釈および運用について」文部省管理局長通達の別紙準学校法人の認可基準の解釈および運用方針のIIの4の(1)
      • 参考 昭和35年5月26日付文管振第207号文部省管理局長通達の別紙のIIの4の(1)
        当該法人が生徒から経常的に受け入れる授業料その他の金額の総額は、教職員の給与、研究費及び共済組合等の掛金、生徒諸費支給教材費及びこれに関連する費用、支給奨学金及びこれに類する費用、生徒の保健費及び福利厚生費並びに生徒の娯楽運動に要する費用をいう。並びに教育用備品費図書費、教具費及び校具費をいう。の総額のおおむね1.5倍相当額の範囲内であること。
    • 2 幼稚園の設置運営を目的とする学校法人
      昭和36年5月23日付文管振第193号「幼稚園を設置する学校法人に対する幼稚園のための財産の贈与または遺贈の非課税取扱いについて」文部省管理局長通達の記の2の(2)
      • 参考 昭和36年5月23日付文管振第193号文部省管理局長通達の記の2の(2)
        当該法人の園児に係る経常的な授業料その他の収入金額の総額は、教職員の給与、研究費及び共済組合等の掛金、園児諸費支給教材費及びこれに関連する費用、保健費、福利厚生費及び娯楽運動に要する費用をいう。及び教育用備品費図書並びに園具及び教具幼稚園設置基準第10条に掲げる園具及び教具をいう。の購入および修繕に要する費用をいう。並びに教育用消耗品費のおおむね1.5倍相当額の範囲内であること。
    • 3 上記(1)のヌの(イ)及び(ロ)の要件を満たす法人
      医療法施行規則第30条の35の3第1項第2号に定める要件この場合において、同号ロの判定に当たっては、介護保険法の規定に基づく保険給付に係る収入金額を社会保険診療に係る収入に含めて差し支えないものとして取り扱う。
      • 参考 医療法施行規則第30条の35の3第1項第2号の要件
        医療法人の事業について、次のいずれにも該当すること。
        • イ 病院、診療所、介護老人保健施設及び介護医療院の業務に係る費用の額が経常費用の額の100分の60を超えること。
        • ロ 社会保険診療租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第26条第2項に規定する社会保険診療をいう。以下同じ。に係る収入金額労働者災害補償保険法昭和22年法律第50号に係る患者の診療報酬当該診療報酬が社会保険診療報酬と同一の基準によっている場合又は当該診療報酬が少額全収入金額のおおむね100分の10以下の場合をいう。の場合に限る。を含む。、健康増進法平成14年法律第103号第6条各号に掲げる健康増進事業実施者が行う同法第4条に規定する健康増進事業健康診査に係るものに限る。以下同じ。に係る収入金額当該収入金額が社会保険診療報酬と同一の基準により計算されている場合に限る。、予防接種予防接種法昭和23年法律第68号第2条第6項に規定する定期の予防接種等その他厚生労働大臣が定める予防接種をいう。に係る収入金額、助産社会保険診療及び健康増進事業に係るものを除く。に係る収入金額1の分娩に係る助産に係る収入金額が50万円を超えるときは、50万円を限度とする。、介護保険法の規定による保険給付に係る収入金額租税特別措置法第26条第2項第4号に掲げるサービスに係る収入金額を除く。並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律平成17年法律第123号第6条に規定する介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費、特例訓練等給付費、特定障害者特別給付費、特例特定障害者特別給付費、地域相談支援給付費、特例地域相談支援給付費、計画相談支援給付費、特例計画相談支援給付費及び基準該当療養介護医療費、同法第77条及び第78条に規定する地域生活支援事業、児童福祉法昭和22年法律第164号第21条の5の2に規定する障害児通所給付費及び特例障害児通所給付費、同法第24条の2に規定する障害児入所給付費、同法第24条の7に規定する特定入所障害児食費等給付費並びに同法第24条の25に規定する障害児相談支援給付費及び特例障害児相談支援給付費に係る収入金額の合計額が、全収入金額の100分の80を超えること。
        • ハ 自費患者社会保険診療に係る患者又は労働者災害補償保険法に係る患者以外の患者をいう。以下同じ。に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されること。
        • ニ 医療診療社会保険診療、労働者災害補償保険法に係る診療及び自費患者に係る診療をいう。により収入する金額が、医師、看護師等の給与、医療の提供に要する費用投薬費を含む。等患者のために直接必要な経費の額に100分の150を乗じて得た額の範囲内であること。
    • 4 上記(1)のヌの(ハ)の要件を満たす法人
      措令第39条の25第1項第1号に規定する厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準平成15年厚生労働省告示第147号第1号に規定するイからハまでの要件
      • 参考 租税特別措置法施行令第39条の25第1項第1号に規定する厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準第1号
        その医療法人の事業について、次のいずれにも該当すること。
        • イ 社会保険診療租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第26条第2項に規定する社会保険診療をいう。以下同じ。に係る収入金額労働者災害補償保険法昭和22年法律第50号に係る患者の診療報酬当該診療報酬が社会保険診療報酬と同一の基準によっている場合又は当該診療報酬が少額全収入金額のおおむね100分の10以下の場合をいう。の場合に限る。を含む。、健康増進法平成14年法律第103号第6条各号に掲げる健康増進事業実施者が行う同法第4条に規定する健康増進事業健康診査に係るものに限る。以下同じ。に係る収入金額当該収入金額が社会保険診療報酬と同一の基準によっている場合に限る。、予防接種法昭和23年法律第68号第2条第6項に規定する定期の予防接種等及び医療法施行規則第30条の35の3第1項第2号ロの規定に基づき厚生労働大臣が定める予防接種平成29年厚生労働省告示第314号に定める予防接種に係る収入金額、助産社会保険診療及び健康増進事業に係るものを除く。に係る収入金額1の分娩に係る助産に係る収入金額が50万円を超えるときは、50万円を限度とする。、介護保険法平成9年法律第123号の規定による保険給付に係る収入金額租税特別措置法第26条第2項第4号に掲げるサービスに係る収入金額を除く。並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律平成17年法律第123号第6条に規定する介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費、特例訓練等給付費、特定障害者特別給付費、特例特定障害者特別給付費、地域相談支援給付費、特例地域相談支援給付費、計画相談支援給付費、特例計画相談支援給付費及び基準該当療養介護医療費、同法第77条及び第78条に規定する地域生活支援事業、児童福祉法昭和22年法律第164号第21条の5の2に規定する障害児通所給付費及び特例障害児通所給付費、同法第24条の2に規定する障害児入所給付費、同法第24条の7に規定する特定入所障害児食費等給付費並びに同法第24条の25に規定する障害児相談支援給付費及び特例障害児相談支援給付費に係る収入金額の合計額が、全収入金額の100分の80を超えること。
        • ロ 自費患者社会保険診療に係る患者又は労働者災害補償保険法に係る患者以外の患者をいう。に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されること。
        • ハ 医療診療社会保険診療、労働者災害補償保険法に係る診療及び自費患者に係る診療をいう。により収入する金額が、医師、看護師等の給与、医療の提供に要する費用投薬費を含む。等患者のために直接必要な経費の額に100分の150を乗じて得た額の範囲内であること。
  • (4) 法令の遵守等

    当該公益法人等の事業の運営につき、法令に違反する事実その他公益に反する事実がないこと。

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