リース取引の会計実務,税務実務とIFRS導入の影響 第8回 実務上の留意事項と税務上の関連論点
有限責任監査法人トーマツ 井上雅彦
( 38頁)
本連載では,わが国の現行会計実務及び税務実務を振り返りながら,そのポイントや特徴を確認していく。また,「IFRSリース再公開草案(+その後の暫定決定)」で明らかになった方向性を踏まえ,日本の現行実務に及ぼす影響を検討する。
第8回は,実務上の留意事項と税務上の関連論点を取り扱う。文中意見にわたる部分は個人の見解で,所属する法人の見解とは関係がないことを申し添える。
物件の返還と清算
1.リース物件の返還
リース契約では,リース契約が満了した場合や,リース契約期間中途での契約解除となった場合は,ユーザーはリース会社に物件を返還する。これは,次の理由による。
・リース物件の所有権がリース会社にある
・当初のリース料計算においては,基本的には,リース契約満了時の物件の残存価額について,リース料に含めて計算していない
・特に中途解約時には,規定損害金等の担保となる
リース会社は,中古市場で売却可能なリース物件は売却する。高く売れればリース会社にとって収益に貢献する。リースアップした物件を高値で処分できれば,見積処分価額を高く見積もることができ,リース料の額を抑えることも可能になる。
ユーザーはリース会社の指定場...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします