ハーフタイム キャッシュリッチ企業はなぜ増えるのか

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上場企業の保有する現預金は,2000年から増え続けて,2014年度末には100兆円を突破,自己資本比率は39.6%になった(法人企業統計季報)。その結果,無借金および実質無借金(有利子負債よりも多くの現預金や短期証券のほうが多い)の上場企業割合は2015年度末で56%を超えた模様だ。キャッシュリッチ企業が増えたのは企業の稼ぎ力が着実に増えたからにほかならない。昭和の高度成長期を知る者からみれば隔世の感があり,いまでも銀行融資に依存している中小企業経営者にとっても,また巨額政府債務を憂える人にとっても,実に羨ましい限りであろう。ただ企業は過度に保守的になっていないか,投資意欲が低すぎるのではない...