ハーフタイム 若者の海外離れ

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海外勤務を希望しない若者の割合が顕著に高くなっていることを示す調査結果がある。2001年には29.2%だったが,2015年は63.7%で過去最高に達したという(産業能率大学第6回新入社員のグローバル意識調査)。理由は「語学力に自信がない」が6割,「生活面が不安」が4割,「自分の仕事の能力に自信がない」が3割となっている。もう少し詳しくみると,「国・地域によっては働きたい」は5割強から3割弱へ,「どんな国・地域でも働きたい」は12%から9%へ低下した。

戦後の高度成長時代には,狭い日本から脱出して大きな世界へと雄飛したい若者が大多数だった。もちろん家族の事情などで海外に行きたくてもいまは行けないという人は当時もいたから,3人に1人程度が海外勤務を希望しないのは理解できる。ところが,いまや3人に2人の若者が先進国勤務も嫌う,発展途上国に至っては働きたい人の割合は1割にも満たないという数字は異常な低さである。

では,海外離れや内向き志向が増えているのは何故だろうか。まず,戦後間もない頃の日本とは異なり,いまや物資はあふれるほど豊富,環境は安全・清潔・便利。だから気象や宗教上のハードシップが高いと...