私の会計史 theme8 機械経理部 (その1)

  藤田敬司

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サウジアラビアの2年が終わり帰国すると本店機械経理部に配属された。まず船舶部と宇宙航空機部,次いでグローバルに発電所建設を請け負う電力機械部を担当した。最後にシカゴにあるジョイント・ベンチャーに2カ月出張するなど,多様なビジネスを経験できた。

いまからサラリーマン時代の40年を振り返ると,海外勤務に憧れて商社に入社したが,学生時代にはまったく関心がなかった財務経理を担当することになり,とくに才能もない人間が"運・鈍・根"(陳腐な言い方だが)を頼りに,変化に富む人生を歩んできた。

また機械経理部の4年間は,後半20年への過渡期であり,前半20年間で培った経験,そこから芽生えた自信,それに伴い次第に重くなる仕事上の責任,この3つは連動して高まるものであり,どれ一つ欠けても不味いことになると悟った,いわば人生の節目である。

入社後は内外支店や現地法人に勤務,それは先進国でも発展途上国でも経験することができた。前半20年を徒弟時代とすれば,後半20年は,①いままでに蓄えた知識・経験をベースにまず自分で現状の問題点と解決法を考える(先例を学ぶだけではダメ),②次いで周囲と協議し方針を決める,③決まった...