Q&Aコーナー 気になる論点(210) 税効果会計(1)

‐未実現損益の消去に関して‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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企業会計基準委員会(ASBJ)は,2018年2月16日に,企業会計基準第28号「 『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」 等を公表しています。これによって,資産負債法の例外として取り扱われていた未実現損益の消去に係る税効果会計は,改正されたのでしょうか。

A

いいえ。審議の過程において,未実現損益の消去に係る税効果会計については,国際的な会計基準との整合性の観点から資産負債法への変更や資産負債法との選択適用が議論されたものの,当該変更により企業によっては多大なコストが生じる可能性がある等の意見を踏まえ,繰延法を継続しています。

<解説>

企業会計基準第28号の公表

ASBJは,基準諮問会議の提言を受けて,日本公認会計士協会における税効果会計に関する実務指針を移管すべく,まず2015年12月に企業会計基準適用指針第26号「 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 」を公表し,それ以外は,基本的にその内容を踏襲した上で,[図表1]の見直しを行い,実務指針等を統廃合しています([図表2])。

[図表1]企業会計基準第28号等による主な見直し

項目改正前改正後個別財務諸表における子会社・関連会社株式に係る将来加...