ハーフタイム 過剰債務の原因と結果とこれからの課題

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世界の債務は,10年前の金融危機時より4割も増え,いまや250兆ドル(約2.7京円)に達している(9月15日付け日本経済新聞)。こうなった原因は,①金融機関の過剰債務がリーマンショックのインパクトを大きくしたにもかかわらず,公的債務が肩代わりして金融機関を救済した,②その後のリセッション対策にあっても,劇的な金融緩和や財政支出の大盤振る舞いによって対応した,からである。

ここまでは疑問の余地はなく,過剰債務はその結果にすぎないが,ほかにも不気味な事実がいくつかみられる。③いまなお金融政策の正常化は遅々として進まず,このまま過剰債務を放置すると次の金融危機や大不況では財政出動もできず「打つ手なし」の状況に陥ると警告する識者が増えている,④米国のFRBは政策金利の上昇によって金融緩和の「出口戦略」を進めているが,新興国に深刻な悪影響を及ぼしている,⑤最近のIMF世界経済見通し(WEO)によると,世界のGDPは戦後最大の落ち込みを記録し,金融緩和の副作用として「所得の不公平化」が進んでいる。

では,過剰債務を抱えた世界にとってこれからの課題は何であろうか。それは何と言っても,いまの過剰債務を気に...