新春特別寄稿 ディスクロージャー・企業会計等をめぐる動向

金融庁企画市場局 企業開示課長 井上俊剛

( 08頁)

一 はじめに

昨年も,企業開示行政に大きな進展のある年であった。

まず,コーポレートガバナンス改革については,改革をさらに実質的なものへと深化させていくため,2017年5月のスチュワードシップ・コード改訂に続いて,昨年6月,コーポレートガバナンス・コードの改訂と「投資家と企業の対話ガイドライン」の策定を行ったところであり,本年6月の株主総会シーズンに向け,これらを踏まえた投資家と企業の取組みの状況に関する検証結果の公表を行うための検討を進めている。

企業情報の開示については,投資家の投資判断に必要な情報の十分・適時な提供を確保し,投資家と企業の建設的な対話に資する情報開示を更に促進していくため,金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて,企業情報の開示及び提供のあり方について,幅広い検討が行われ,昨年6月に報告書が取りまとめられた。

会計監査については,企業会計審議会において監査報告書の透明化についての検討を行い,昨年7月,監査報告書に,財務諸表の適正性についての意見表明に加え,「監査上の主要な検討事項」の記載を求めること等を内容とする監査基準の改訂を行い,これを踏まえた内閣府令...