収益認識の開示(表示及び注記事項)に関する公開草案について

解説

企業会計基準委員会 専門研究員 中根 將夫

企業会計基準委員会 専門研究員 藤田 晃士

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Ⅰ.はじめに

企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)は,2019年10月30日に,企業会計基準公開草案第66号(企業会計基準第29号の改正案)「収益認識に関する会計基準(案)」(以下「本会計基準改正案」という。)及び企業会計基準適用指針公開草案第66号(企業会計基準適用指針第30号の改正案)「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「本適用指針改正案」という。)等(以下,まとめて「本公開草案」という。)を公表した①(コメント期限:2020年1月10日)。本公開草案は,主として開示(表示及び注記事項)について検討を行ったものであり,特に注記事項に関しては,開示目的を示したうえで,開示する具体的な項目及びその記載内容については開示目的に照らして判断することを企業に求めることを提案している。これまでにASBJが公表した会計基準等において,通常,チェックリスト的に具体的な注記事項を定めていたことを考慮すると,今回の提案内容は新しい試みであると考えられる。本稿では,本公開草案の開発に...