近年，株式報酬に対する関心が高まっている。昨年12月に公布された令和元年改正会社法では，株式報酬に関する改正が行われた。

従来の会社法では，株式の発行や自己株式の処分をする場合，金銭の払込みまたは金銭以外の財産の給付が必要だった。このため，自社株式を取締役報酬とする場合，金銭を取締役報酬として，取締役が報酬支払請求権を現物出資する形で株式を交付する実務が行われていた。新株予約権を行使する際は財産出資が求められるため，行使価額を１円とする「１円ストック・オプション」も散見された。

しかし，このような実務は技巧的であり，分かりにくい等の指摘もあった。また，法制審議会の議論では，「取...