[全文公開] 金融庁 近づく株主総会,感染の第二波に警戒を

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第6回新型コロナ対応連絡協議会を開催
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金融庁は5月14日,第6回「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」を電話会議で開催した。前回に引き続き,緊急事態宣言延長後の状況の確認と,各団体のその後の公表物等について内容を共有した。例えば日本経済団体連合会は5月14日に「オフィスにおける新型コロナウイルスの感染予防対策ガイドライン」を公表し,株主総会についても来場者のない形での開催を検討するよう求めている。

経団連は感染予防対策ガイドライン公表

今回も,緊急事態宣言延長後の各団体の取組みや状況の共有等を行った。法務省は日本経済団体連合会(経団連)からの要望を踏まえ,会社法施行規則および会社計算規則を一部改正し,ウェブ開示によるみなし提供制度の対象を拡大した旨報告した( No.3457・5頁 )。

経団連は,法務省の迅速な対応に謝意を示すとともに,5月14日に「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公表したことを報告した。新型コロナウイルス感染症の完全な終息までには長期間かかることが考えられ,事業活動においても一層感染防止のための取組みが必要との観点から,感染予防対策を行う際の基本的事項を参考として整理したもの。同ガイドラインには株主総会についても記載があり,項目4「勤務」において,「株主総会については,事前の議決権行使を促すことなどにより,来場者のない形での開催も検討する」とされている。

経産省からは,株主総会に関する企業からの問い合わせ状況から,株主総会運営に係るQ&Aをより一層周知する必要がある旨共有された。一部地域で緊急事態宣言が解除されており,株主総会を開催する場合は第二波を防ぐためにも来場を原則禁止とし,事前議決権行使やインターネットによる議決権行使などを利用して来場をできるだけ少なくするべきとの考え。場合によっては追加的なアナウンスも検討し,周知に努める方針を示した。

アナ協は企業の積極的な開示を強く期待

企業会計基準委員会(ASBJ)は,前回会議( No.3457・4頁 )で言及した4月10日公表の会計上の見積りに関する議事概要の「追補」を公表した旨を報告した。

日本公認会計士協会(JICPA)は,同追補を踏まえて監査上の留意事項の「その2」を更新した旨等を報告。会計上の見積りの前提の開示が監査上重要なポイントになるとの考えと,現場に対しても適切な開示を求めたいとした。

日本証券アナリスト協会(アナ協)は,新型コロナの影響下で公表された2020年3月期決算に関する企業開示について,同会の要望をまとめた「新型コロナウイルスと企業開示について」と題する声明文の公表(5月14日付)を報告した。声明文では,上記のASBJ,JICPAの取組みに謝意を表明しつつ,有価証券報告書等の制度開示書類以外の任意開示書類においても,新型コロナに関する情報の積極的な開示と,企業と投資家・アナリストの間でより建設的な対話が行われることを「強く期待したい」としている( 本号7頁 に関連記事)。