[全文公開] 金融庁 新型コロナ関連の「追加情報」も有報レビューの対象に

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第7回連絡協議会開催
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金融庁は5月25日,第7回「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」を電話会議で開催した。今回は同庁が5月21日に「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表した旨などが報告・共有された。金融庁は同書面で新型コロナの影響について,企業会計基準委員会(ASBJ)の会計上の見積りの前提に関する「議事概要」とその「追補」を踏まえた追加情報開示や非財務情報(記述情報)の開示充実を要請するとともに,有価証券報告書レビューの審査対象に当該「追加情報」を含めることとしている。

適切な開示に「強く期待」

金融庁が5月21日に公表した「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」では,①財務情報における追加情報の開示( No.3458・2頁 ),②非財務情報(記述情報)の開示,③有価証券報告書レビューによる対応,の3点を企業への要請として示している。

上記①では,ASBJが公表した「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」(4月10日公表,5月11日追補)を踏まえ,「会計上の見積り」の開示は投資家が財務諸表を理解する上で有用な情報と考えられること,新型コロナの影響のように不確実性が高い事象については,追加情報において「会計上の見積りに用いた仮定をより具体的に開示すること」が強く期待されるとした。

次に②では,2020年3月期決算から適用された「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年内閣府令第3号)において非財務情報(記述情報)開示の充実化が図られたことを踏まえ,「事業等のリスク」における感染症の影響や対応策に関する記載,「経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」における業績や資金繰りへの影響分析の記載,経営戦略を変更する場合のその内容等に関して,充実した開示を行うことが強く期待されるとした。

最後に③では,3月に公表した「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について(令和2年度)」( No.3453・8頁 )を5月21日付で更新しており,非財務情報の開示の審査には新型コロナに関する記載内容も含まれることの明確化と,新たにASBJの議事概要を踏まえた新型コロナの影響に係る仮定に関する追加情報の開示内容もレビュー対象となる旨説明している。

経産省は株主への「お願い」を公表

経済産業省(経産省)からは,5月22日に「株主の皆様へのお願い―定時株主総会における感染拡大防止策について―」を公表した旨が報告された。同書面では株主に対し,新型コロナの影響で例年とは異なる状況下の開催となるため,配当や議決権行使の基準日が変更されることがあり,招集通知の記載内容を例年以上によく確認することや,PCやスマートフォン等含む事前の議決権行使を積極的に利用すること,自身を含む来場株主の健康への影響が懸念されることから,株主総会への来場は原則控えること,について理解を求めている。