新型コロナウイルス感染症の影響に関する記述情報の開示Q&A 投資家が期待する好開示のポイント

解説

金融庁企画市場局企業開示課 課長補佐 上利悟史

金融庁企画市場局企業開示課 専門官 前田和哉

金融庁企画市場局企業開示課 係長 吉田圭吾

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1.はじめに

新型コロナウイルス感染症の広がりは,多くの上場企業等の経済活動に影響を与えており,こうした不確実な経営環境において,経営者の視点による充実した開示を行うことは,投資家の投資判断にとって重要と考えられます。また,このような開示は,投資家と企業との建設的な対話を通じた持続的な企業価値の維持・向上にも資するものと考えられ,さらに,世界的な広がりを見せている今般の感染症について,こうした観点から開示の充実が図られることは,我が国の資本市場の信頼性の向上にも資すると考えられます。

こうした考え方を踏まえ,金融庁では,新型コロナウイルス感染症の影響について,有価証券報告書の財務および非財務情報の双方において具体的かつ充実した開示が強く期待されることを内容とする要請文(「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」)を公表するとともに(本年5月21日),特に非財務情報(記述情報)において,投資家が期待する好開示のポイントをまと...