<2021年3月期決算>記述情報の好開示のポイント

金融庁企画市場局企業開示課 課長補佐 花上康孝
金融庁企画市場局企業開示課 企業会計専門官 船木博文
金融庁企画市場局企業開示課 係長 吉田圭吾
  

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1.はじめに

企業情報の開示は,投資家の投資判断に必要な情報を提供することを通じて,資本市場における効率的な資源配分を実現するための基本的なインフラであり,投資判断に必要とされる情報を十分かつ正確に,また適時にわかりやすく提供することが求められます。

金融庁では,ルールへの形式的な対応にとどまらない開示の充実に向けた企業の取組みを促すため,「記述情報の開示に関する原則」を公表するとともに,開示の好事例を全体に浸透させるため,「記述情報の開示の好事例集」の公表・更新を行っています。

本稿では,本年3月22日に最終更新した「記述情報の開示の好事例集2020」(以下「好事例集」という)の内容を紹介しながら,2021年3月期における記述情報の好開示のポイントについて説明いたします。

なお,本稿中の意見にわたる部分については,筆者らの個人的見解であることをあらかじめ申し添えます。

2.好事例集の概要

まず,好事例集(図表1)の概要を説明いたします。

【図表1】「記述情報の開示の好事例集2020」

金融庁では,開示の好事例の検討にあたり,投資家・アナリスト及び企業の皆様からなる勉強会を開催しております。勉強会では...