<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第69回 Goodwillと無形資産(4)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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オークション

香港に出張した際、たまたまサザビーズのオークション会場が宿泊したホテルのすぐ近くだったので、後学の為に見学に行ったことがある。会場では、出品物についてのプレビューという展示場所があって、カタログと照らし合わせて入念なチェックができるようになっていた。実際のオークションの場では、参加者はパドルという番号札を持ち、自分が落札したい商品があれば札をあげる。スクリーンに表示される値段が上がっていくにつれ、あがっているパドルの数が少なくなり、やがてガベルという木槌が振り下ろされ、トーンという音と共に落札者が決定する。映画やニュースで見たシーンと全く同じ光景が広がっていた。ただ印象に残ったのは、落札迄の時間が思ったよりも早かったことだ。一人しか札を上げないケースもあり、次から次へと出品物がオークションにかけられ、どんどんと落札されていく。

オークションに参加する人たちは、事前に入念に出品物の価値を調べ、しっかりとした評価額を持って臨んでいるという。また、オークションに先立って出品者と参加者との間でのやりとりもあるようで、実際のオークションでは予定調和的にスムーズに落札価格が決まっていく。...