新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第7回 税効果会計の間違いやすいポイント3選

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 児島 悠太

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2023年最初の「新・経理実務最前線!Q&A ~監査の現場から」は税効果会計の間違いやすいポイント3選です。税効果会計は実務上、様々な論点がありますが、今回は繰延税金資産の回収可能性を判断する中で、間違いやすいと思われる3つの論点について解説します。税効果会計の開示は、経営者の将来の利益水準に関する予測を読み取ることができる重要な情報と考えられます。例えば、税効果会計の注記では、将来の予算、利益計画等を反映した課税所得等では回収可能性が十分ではないと経営者が判断したものが評価性引当額として表現されており、財務諸表等に反映されている企業の予算等の将来の利益水準を推測することが可能な情報として位置付けられると考えます。また、税効果会計で計上された利益は会社のいわゆる配当可能利益にも影響するため、会計処理についての会社の関心も高く、監査人側からも重要な監査項目となることが多いです。そのため、毎年、年度末の決算に向けて企業の分類、将来の課税所得の見積り、将来減算一時差異のスケジューリングについて多くの議論がなされています。今回、私が監査実務を行う中で、監査チームのメンバーともその取扱いが議論に...