四半期開示の見直しの概要と今後の法令・基準等改正の課題

―「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」の概要と今後の課題―

同志社大学商学部・商学研究科 客員教授 元パナソニック株式会社 理事 山田 浩史

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1.はじめに

金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ(以下「DWG」)は、2022年10月から、DWG(令和4年度)として議論を再開し、四半期開示の見直しとサステナビリティ開示について、4回にわたり審議を行ってきたが、2022年12月27日に「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」(以下「DWG報告」)を公表した。本稿では、DWG報告のうち、四半期開示の見直しを取り扱う。

2022年6月に公表された「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」(2022年6月版)で、四半期開示について、金融商品取引法(以下「金商法」)上の四半期報告書(第1・第3四半期)を廃止して、取引所の四半期決算短信に「一本化」する方向性が示された。この具体化に向けた課題が、2022年10月から、引き続き検討され、その検討結果がDWG報告として2022年12月に取りまとめられた。今回の四半期決算短信への「一本化」は、第1・第3四半期に2つの開示資料(四半期決算短信、四半期報告書)を作成するという重複業務を削減することによって財務諸表作成者(以下「作成者」)の負担を軽減し、開示の効率化を図るとい...