役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<214> 会計限定監査役解任の正当理由(1)
弁護士 小林公明
Q
従業員の横領を見落とし、計算書類及びその附属明細書は、会社の財産及び損益の状況を全ての重要な点において適正に表示している旨の監査報告をした会計限定監査役の解任には正当理由があるか。
A
1 結論
当該監査役が適切な方法により監査を行ったといえない場合には、解任につき正当理由有りと考えられる。
2 裁判例
(1)最判令3.7.19判例秘書L07610060(以下「令和3年最判」又は単に「最判」と表記することがある)
会計限定監査役が従業員の横領を見落とした点は質問と同じであるが、会社が当該監査役の解任ではなく、その監査役に対する損害賠償を請求した事案に関する裁判例がある。
その審級の下記各判決は、質問にある「解任の正当理由」との関係においても参考となる判示をしているので、以下この裁判例を参照しながら質問に対し解答する。
記
1審判決 千葉地判平31.2.21判例秘書L07450900(以下「1審」)
控訴審判決 東京高判令1.8.21判例秘書L07420401(以下「原審」)
上告審判決 令和3年最判又は最判
(2)事案の概要
最判によると、事案の概要は以下のとおりである。
1 本件は,株式会社(1審の前提事実...
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