公開買付制度・大量保有報告制度の見直しに係る政令・内閣府令改正等の解説(後編)

金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 新谷 亜紀子
金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 金子 慧史
前金融庁 企画市場局 企業開示課 専門官 上久保 知優
金融庁 企画市場局 企業開示課 専門官 福田 輝人

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※本稿において意見にわたる部分は、いずれも筆者らの個人的見解である。

3.大量保有報告制度

(1)企業と投資家の対話の促進に向けた規定の整備等

①共同保有者の規律に関する特例等

現行制度上、株券等の保有者との間で共同して株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している者については例外なく共同保有者に該当するが、改正法では、そのような合意をしている場合であっても、(A)当該保有者と他の保有者がいずれも金融商品取引業者等であり、(B)共同して重要提案行為等を行うことを合意の目的とせず、(C)共同して株主としての議決権その他の権利を行使することの合意のうち、個別の権利の行使ごとの合意として政令で定めるものに該当する場合には、当該他の保有者は共同保有者に該当しないという特例を設けている(改正法第27条の23第5項)。

本改正では、このうち(A)及び(C)の具体的内容を定めている。

まず、(A)については、現行法上の特例報告制度の適用対象範囲を参照しつつ、証券会社、投資運用業者、銀行、信託会社、保険会社等とした(改正大量保有府令第5条の2の2)。

また、(C)については、以下の要件を定めている(改...