会計基準の長い日々 第18回 エンロン事件とトゥイーディーIASB議長~米国会計基準の細則主義とIFRSの原則主義

 公認会計士 西川 郁生

( 32頁)

日中韓3カ国会議

会計基準設定主体間の日中韓3カ国会議の開催が決まってから開催に至るのは、極めて短期間の出来事だった。日韓の会計学会間の交流 や、JICPAと韓国公認会計士協会(KICPA)との定期会合など、日本と韓国の関係は以前から強かった。韓国ではキム・イル・サップ公認会計士が、当時できて間もないKASB(韓国会計基準委員会)の初代委員長であった。あるシンポジウム終了後の立食の懇親会場にキム氏が日本の公認会計士らとともに現れた。そこで3、4人で談笑するうちに、その場にいた山田辰己IASB理事が「中国を含めた日中韓3カ国の会計基準設定主体で合同の会議を開いたらどうか」と発言し、全員が賛同した。「第1回は東京でやろう」ということになり、山田氏が中国に連絡を取り、3カ国による会議の開催が確定した。

2002年2月の第1回東京会合は、自己株式会計基準公表の1週間前にASBJの会議室で開かれた。韓国はキム委員長が1人、中国は4人のメンバーが参加した。中国のメンバーを率いる中国財政部フォン・シューピン氏を含め、メンバー4人中3人が女性であった。IASBから山田氏が参加した。

会議は、各国の基準設定主...