税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

退職所得とは

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 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与による所得をいう(法30)。

備考

退職給与を金銭以外の物又は権利で支給される場合の退職所得の収入金額は、その物又は権利の支給時の時価によって計算する(法36)。

(退職所得となるもの)

 退職手当等とは、本来退職しなかったならば支給されなかったもので、退職したことに基因して支給されることとなった性質のものである(基通30-1)。

  • 1 引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち、次に掲げるものでその給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは退職手当等とされる(基通30-2)。
    •  ① 新たに退職給与規程を制定し、又は中小企業退職金共済制度若しくは確定拠出年金制度への移行等相当の理由により従来の退職給与規程を改正した場合に、使用人に対し制定又は改正前の勤続期間に係る退職手当等として支払われるもの
    •  ② 使用人から役員になった者に対し、その使用人であった勤続期間に係る退職手当等として支払われるもの
    •  ③ 常勤役員が非常勤役員になる等分掌変更の後に報酬が激減すること等のため、分掌変更前の役員の勤続期間に係る退職手当等として支払われるもの
    •  ④ 定年に達した後引き続き勤務する使用人又は解散後引き続き清算事務に従事する役員若しくは使用人に対しそれまでの勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与
  • 2 在職中に使用者に対し所定の掛金を拠出することにより退職に際して使用者から支払われる一時金は、退職手当等とする。その金額は一時金の額から掛金を控除した金額による(基通30-3)。
  • 3 過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金の受給資格者に対し、年金に代えて一時金として支給されるもののうち、退職の日以後年金の受給開始日までの間に支払われるものは退職手当等とされる。
      なお、年金の受給開始日後に支払われる一時金であっても、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものは、次に掲げる年分の退職手当等とすることが認められる(基通30-4)。
    • ① 退職の日以後その退職に基因する退職手当等の支払をすでに受けている者に支払われる一時金 最初に支払われた退職手当等の支給期
    • ② その他の一時金 一時金の支給期
  • 4 労働基準法の規定によって、使用者が予告をしないで解雇する場合に支払う予告手当は、退職手当等になる(基通30-5)。

備考

企業破産等に係る退職勤労者が国からその事業主に代わって弁済を受ける未払賃金は、退職手当等とみなされて課税される(措法29の4)。

年金の受給開始日後に支払われる一時金で、左記なお書に該当しないものは、公的年金等に該当する。

(みなし退職手当)

 社会保険制度に基づいて支払を受ける一時金その他これに類する給付、確定給付企業年金に係る規約や適格退職年金契約に基づいて支払を受ける退職一時金並びに確定拠出年金の企業型年金規約又は個人型年金規約に基づいて老齢給付金として支給される一時金、特定退職金共済団体及び独立行政法人勤労者退職金共済機構が行う退職金共済に関する制度、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う小規模企業共済契約に係る制度等に基づいて支払を受ける一時金は退職手当等とみなされる(法31令7276)。

備考

確定給付企業年金に係る規約又は適格退職年金契約に基づいて拠出された掛金などのうちにその加入者又は勤務者の負担した金額がある場合には、支払を受ける退職一時金からその負担相当分を控除した金額が退職所得の収入金額となる(法31三、令72③四)。

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