〈制度の概要〉
個人が、他の者(当該個人が非居住者である場合、一定の事業場等を含む。)から取得した国内にある土地又は土地の上に存する権利のうち、その年1月1日において所有期間が5年以下である土地等について適用される(措法28の4①)。
なお、その年中に取得した土地等も含まれる。
(注) 個人が平成10年1月1日から令和5年3月31日までの間にした土地の譲渡等については、適用しない(措法28の4⑥)。
〈特例の対象となる譲渡又は資産〉
- (1) 特例の対象となる土地等の範囲は、次のとおりである(措法28の4①)。
- ① 個人の不動産業者が有する棚卸資産である土地及び土地の上に存する権利(すなわち、事業所得の基因となるもの)
- ② 事業には至らないが、個人が営利を目的として継続的に譲渡を行う場合のその土地及び土地の上に存する権利(すなわち、雑所得の基因となるもの)
- (2) 特例の対象となる譲渡の範囲は、次のとおりである。
分離重課の規定が適用される譲渡は、売買、交換、収用、法人に対する現物出資のほか、次に掲げる行為も含まれる(措法28の4①)。 - ① 地上権又は賃借権の設定その他契約により他人(当該個人が非居住者である場合、一定の事業場等を含む。)に土地を長期間使用させる行為で、その設定により受ける対価の額が土地等の価額の50%を超えるもの等(令79①)譲渡所得に該当するもの(措令19②)。
- ② 土地等の売買又は交換の代理又は媒介に関し報酬を受ける行為で、宅地建物取引業法に規定する仲介報酬の限度額を超える仲介報酬を受ける行為(措令19③)
- (3) この特例の適用除外となる譲渡の範囲(措法28の4③)
- ① 国若しくは地方公共団体に対する土地等の譲渡(措法28の4③一、措令19⑧)
- ② 独立行政法人都市再生機構、土地開発公社等に対する土地等の譲渡でその住宅等の供給業務に直接必要なもの(措法28の4③二)
- ③ 収用交換等による土地等の譲渡(措法28の4③三)
- ④ 都市計画法の開発許可を受けて行う1,000㎡以上の造成団地の譲渡(適正価格、公募要件等を満たすもの)(措法28の4③四)
- ⑤ 都道府県知事の優良宅地供給の認定を受けて行う1,000㎡以上の造成団地の譲渡(適正価格、公募要件等を満たすもの)(措法28の4③五)
- ⑥ 都道府県知事の優良住宅供給の認定を受けて行う1,000㎡以上の建売住宅又は売建住宅の敷地の用に供される宅地の譲渡(適正価格、公募要件等を満たすもの)(措法28の4③六)
- ⑦イ 市町村長等の優良宅地供給の認定を受けて行う1,000㎡未満の造成宅地の譲渡(適正価格要件を満たすもの)(措法28の4③七イ)
ロ 市町村長等の優良住宅供給の認定を受けて行う1,000㎡未満の建売住宅又は建売住宅の敷地の用に供される宅地の譲渡(適正価格要件を満たすもの)(措法28の4③七ロ) - ⑧ 宅地建物取引業者である法人の行う個人住宅敷地の転売行為で適正報酬による土地等の売買の仲介行為に類するもの(措法28の4③八)
〈譲渡所得の金額及び所得税額の計算〉
- (1) 事業所得の金額の計算
分離重課の規定が適用される土地の譲渡等に係る事業所得の金額及び雑所得の金額は、次により計算する(措令19④)。
収入金額-原価等の額=土地等に係る事業所得等の金額
収入金額は、その事業所得又は雑所得に係る収入金額のほか、譲渡に含まれることとなる賃借権の設定等に伴いその対価として権利金その他一時金の支払を受ける場合には、その額を含む。原価等の額は、次に掲げる金額の合計額である。 - ① その土地の取得に要した金額並びに設備費及び改良費
- ② その年中に支払うべき負債利子の額のうち、その土地の譲渡等に係る部分の金額として合理的に計算した金額
- ③ その土地の譲渡等のために要した販売費、一般管理費その他の経費の額として合理的に計算した金額
- (2) 所得税額の計算
次の①又は②のいずれか多い金額の所得税が課される(措法28の4①)。 - ① 土地等に係る課税事業所得等の金額の合計額×40%(住民税 12%)
- ② {〔土地等に係る課税事業所得の金額+課税総所得金額〕×総合課税の税率-課税総所得金額×総合課税の税率}×110%〔住民税 総合課税の上積分の110%〕