税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

個人

  • ① 一般の居住者(日本国内に住所を有し又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人)……その所得の全部(法7①一)
  • ② 非永住者(居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人)……日本国外にその源泉のある所得等(「国外源泉所得」という。)以外の所得及び国外源泉所得で日本で支払われ又は外国から日本へ送金されたもの(法7①二)。
     国外源泉所得については、外国税額控除(274頁)を参照。
  • ③ 非居住者(居住者以外の個人)……国内源泉所得(法7①三)
     〈国内源泉所得(法161)〉
    • (イ) 恒久的施設を通じて事業を行う場合において、恒久的施設に帰せられるべき所得(恒久的施設の譲渡により生ずる所得を含む。)
    • (ロ) 国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得((チ)~(タ)までに該当するものを除く。)
    • (ハ) 国内にある資産の譲渡により生ずる所得
    • (ニ) 民法に規定する組合契約に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益でその組合契約(これに類するものを含む。)に基づいて配分を受ける一定のもの
    • (ホ) 日本国内にある土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物の譲渡による対価
    • (ヘ) 日本国内で人的役務の提供を主たる内容とする事業を行う者が受けるその人的役務の提供の対価
    • (ト) 日本国内にある不動産、不動産の上に存する権利若しくは採石権の貸付け、租鉱権の設定又は内国法人若しくは居住者への船舶若しくは航空機の貸付けによる対価
    • (チ) 国債、地方債、日本国内に本店又は主たる事務所を有する法人(内国法人)の発行する債券の利子(公社債で元本に係る部分と利子に係る部分とに分離されてそれぞれ独立して取引されるもののうち、その利子に係る部分であった公社債に係るものを除く。)、外国法人の発行する債券の利子のうちその外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係るもの、日本国内にある営業所に預入された預貯金の利子、日本国内にある営業所に信託された合同運用信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託の収益の分配
    • (リ) 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配、基金利息、日本国内にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)又は特定受益証券発行信託の収益の分配
    • (ヌ) 日本国内において業務を行う者に対する貸付金の利子でその業務に係るものの利子(債券現先取引から生ずる差益を含む。)
    • (ル) 日本国内において業務を行う者から受ける工業所有権、著作権等及び機械、装置、車両、運搬具等の用具の使用料又は対価でその業務に係るもの
    • (ヲ) 公的年金及び日本国内における勤務又は役務の提供により受ける諸給与、歳費、報酬、退職手当
    • (ワ) 日本国内において行う事業の広告宣伝のための賞金
    • (カ) 保険業法に規定する生命保険会社又は損害保険会社の締結する保険契約等に基づいて受ける年金等
    • (ヨ) 給付補填金、利息、利益又は差益で次に掲げるもの
      • (a) 定期積金に係る契約に基づく給付補填金
      • (b) 銀行法第2条第4項の契約に基づく給付補填金
      • (c) 抵当証券に基づき締結された元本及び利息の支払等に関する事項を含む契約により支払われる利息
      • (d) 貴金属の買入れ及び売戻しに関する契約で、一定の期日に一定の金額で売り戻す旨の定めがあるものに基づく利益
      • (e) 外貨建預貯金であらかじめ約定した率により本邦通貨に換算して元本及び利子を支払うこととされているものの差益
      • (f) 保険業法に規定する保険会社等の締結した保険契約又は共済に係る契約で一時払のもののうち、保険期間等が5年以下のものあるいは保険期間等の初日から5年以内に解約されたものに基づく差益
    • (タ) 日本国内の事業者に対する出資につき匿名組合契約等に基づいて受ける利益の分配
    • (レ) その他源泉が国内にある所得

備考

平成25年から令和19年までの間、所得税と併せて、復興特別所得税(所得税の2.1%)が課される(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法9、詳細は「復興特別所得税」の項(310頁)を参照)。

一般の居住者、非永住者及び非居住者が法人課税信託の受託者である場合において、その法人課税信託が内国法人として取り扱われる場合にはその信託財産に帰せられる内国法人課税所得の支払を国内において受けるときに、その法人課税信託が外国法人として取り扱われる場合にはその信託財産に帰せられる外国法人課税所得の支払を受けるときに、それぞれ納税義務を有する(法5①②二)。

内国法人課税所得とは、所得税法第174条各号に掲げる利子等、配当等、給付補填金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金をいい、外国法人課税所得とは所得税法第161条第1項第4号から第11号まで及び第13号から第16号までに掲げる国内源泉所得をいう。

(1)居住者であるかどうかの判定は、日本国内に住所があるか、又は日本国内に1年以上居所があるかの点にかかっている。

 この場合において、住所とは各人の生活の本拠をいうものであり、生活の本拠であるかどうかは、客観的事実によって判定する(基通2-1)。居所とは人が多少の期間継続して居住しているが、その場所とその人の生活との結びつきが「住所」ほど密接でないものと解されている。

(2)日本の公務員については、たとえ(1)により判定して日本に住所がないと認められても居住者とみなされる(法3)。

「国内源泉所得」とされるもので、所得税法の規定と日本が締結した租税条約の規定とが異なるときは、租税条約の規定が優先する(法162)。

非居住者のうち、日本国内に支店、工場などの恒久的施設を有する者は、その国内源泉所得の全てについて総合課税されるが、その他の非居住者は特定の所得についてのみ総合課税され他の所得は源泉分離課税される(法164)。

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