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法人が行ったデリバティブ取引のうち、事業年度終了の時に未決済となっているもの(未決済デリバティブ取引)については、決済したものとみなし、それによって算出される利益の額又は損失の額に相当する金額(「みなし決済損益額」という。)を益金の額又は損金の額に算入する(法61の5①)。
適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人にデリバティブ取引に係る契約を移転する場合には、その適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合のみなし決済損益額に相当する金額は、その適格分割等の日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する(法61の5②)。
備考
左記の未決済デリバティブ取引に係るみなし決済損益額は、翌事業年度の損金の額又は益金の額に算入し、洗替え処理を行う(令120①)。
左記の適格分割等による契約の移転に係るみなし決済損益額は、分割承継法人等において損金の額又は益金の額に算入し、洗替え処理を行う(令120②)。
1 デリバティブ取引の範囲
デリバティブ取引とは、金利、通貨の価格、商品の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値との差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引をいう(法61の5①)。具体的には次の取引がこれに該当する(規27の7)。
2 みなし決済の対象となる未決済デリバティブ取引
みなし決済の対象となる未決済デリバティブ取引とは、デリバティブ取引のうち外貨建取引によって取得し、又は発生する資産又は負債の円換算額を確定させる先物外国為替契約等(法61の8②)に基づく取引並びに一定の要件を満たすスワップ取引及びキャップ・フロアー等の金利オプション取引(規27の7②)を除いたものとされている。
備考
左記の一定の要件については、規27の7②参照。
3 未決済デリバティブ取引のみなし決済による利益の額又は損失の額に相当する金額
未決済デリバティブ取引のみなし決済による利益の額又は損失の額に相当する金額は、次に掲げるデリバティブ取引の区分に応じ次のように算出する(規27の7③)。
備考
「市場デリバティブ取引等」とは、金融商品取引法第2条第21項の市場デリバティブ取引又は同条第23項の外国市場デリバティブ取引に該当するものをいう。
「先渡取引等」とは、金融商品取引法第2条第22項の店頭デリバティブ取引(同項第3号、第4号及び第6号の取引を除く。)に該当するものをいう。
「金融商品オプション取引」とは、金融商品取引法第2条第22項の店頭デリバティブ取引(同項第3号及び第4号の取引に限る。)に該当するものをいう。
左記の合理的な方法によった場合には、その方法を採用した理由及びその方法による計算の基礎とした事項を記載した書類を保存しなければならない(規27の7④)。