移転価格税制の更正又は決定を受けた法人が、国税庁長官、租税条約の我が国以外の締約国又は締約者(以下「条約相手国等」という。)の権限ある当局に対し租税条約に規定する協議(以下「相互協議」という。)の申立てをした上で申請をしたときは、移転価格税制の更正又は決定に係る法人税及び地方法人税並びにそれらの加算税の額の納税を猶予する。
移転価格税制に係る納税の猶予(以下「納税の猶予」という。)は、納期限又は納税の猶予の申請の日のいずれか遅い日を始期とし、相互協議の合意に基づく更正があった日の翌日から1月を経過する日を終期とする期間について認められる(措法66の4の2①)。
ただし、納税の猶予をする場合には、猶予する金額に相当する担保が徴される(措法66の4の2②)。
(注)1 更正又は決定に移転価格税制以外のものや相互協議の対象とならないものが含まれているときは、納税の猶予の対象となる法人税の額及び地方法人税の額並びにそれらの加算税の額は、次の金額の合計額とする(措令39の12の2①)。
- ① 相互協議の申立てに係る更正又は決定により納付すべき法人税の額(以下「更正決定に係る法人税の額」という。)から、その更正決定のうち納税の猶予の対象となる法人税の額に係る部分がなかったものとして計算した場合に納付すべきものとされる法人税の額(以下「猶予対象以外の法人税の額」という。)を控除した金額
- ② 更正決定に係る法人税の額を基礎として課することとされる加算税の額から、猶予対象以外の法人税の額を基礎として課することとされる加算税の額を控除した金額
- ③ 相互協議の申立てに係る更正又は決定により納付すべき地方法人税の額(以下「更正決定に係る地方法人税の額」という。)から、その更正決定のうち納税の猶予の対象となる地方法人税の額に係る部分がなかったものとして計算した場合に納付すべきものとされる地方法人税の額(以下「猶予対象以外の地方法人税の額」という。)を控除した金額
- ④ 更正決定に係る地方法人税の額を基礎として課することとされる加算税の額から、猶予対象以外の地方法人税の額を基礎として課することとされる加算税の額を控除した金額
2 次の場合には、納税の猶予期間は、その納期限からそれぞれの場合に該当する旨を国税庁長官が通知した日の翌日から1月を経過する日までの期間とされる(措令39の12の2②)。
- ① 相互協議を継続した場合であっても合意に至らないと国税庁長官が認める場合において、国税庁長官が相互協議に係る条約相手国等の権限ある当局に相互協議の終了の申入れをし、権限ある当局の同意を得たとき
- ② 相互協議を継続した場合であっても合意に至らないと相互協議に係る条約相手国等の権限ある当局が認める場合において、国税庁長官がその権限ある当局から相互協議の終了の申入れを受け、国税庁長官が同意をしたとき
- ③ 更正決定により納付すべき法人税の額及び地方法人税の額に関し合意が行われた場合において、その合意の内容がその法人税の額及び地方法人税の額を変更するものでないとき
猶予に係る税額が100万円以下である場合、猶予の期間が3月以内である場合又は担保を徴することができない特別の事情がある場合は、担保を徴する必要はない。
担保の種類については通則法50参照。