税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

準備金の一覧

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〈種類〉

(1) 海外投資等損失準備金〔措法55

  適用期限 令和4.3.31

〈適用対象者等〉

 資源開発事業法人、資源開発投資法人、資源探鉱事業法人、資源探鉱投資法人の設立又は増資等の際の株式等の取得をし、かつ、これを取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している青色申告法人

〈積立限度額〉

 資源開発事業法人及び資源開発投資法人の株式等については取得価額の20%、資源探鉱事業法人及び資源探鉱投資法人の株式等については取得価額の50%(措法55①)

〈取崩し(原則)〉

 積立事業年度終了の日の翌日から5年間据え置き、その後5年間で均等額を取り崩して、益金に算入する。

〈種類〉

(2) 中小企業事業再編投資損失準備金〔措法55の2

(産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行の日以後適用)

  認定期限 令和6.3.31

〈適用対象者等〉

 中小企業等経営強化法に規定する一定の経営力向上計画の認定を受けた中小企業者である青色申告法人

〈積立限度額〉

 認定経営力向上計画に従って行う事業承継等として取得する株式等の取得価額の70%に相当する金額(措法55の2①)

〈取崩し(原則)〉

 積立事業年度終了の日の翌日から5年間据え置き、その後5年間で均等額を取り崩して、益金の額に算入する。

〈種類〉

(3) 特定災害防止準備金〔措法56、(措法20)〕

  適用期限 令和4.3.31

〈適用対象者等〉

 一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設の許可を受けた青色申告法人

〈積立限度額〉

 特定廃棄物最終処分場につき当該事業年度において廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定により独立行政法人環境再生保全機構に維持管理積立金として積み立てた金額のうち同法に規定する通知する額の60%に相当する金額(措法56①)

〈取崩し(原則)〉

 維持管理を行うに際し、積立金の取戻しをしたときに、取戻し額を取り崩して益金に算入する。

〈種類〉

(4) 原子力発電施設解体準備金〔措法57の4

〈適用対象者等〉

 電気事業法に規定する発電事業を営む青色申告法人

〈積立限度額〉

 次により計算した金額(措法57の4①)

(当期末の特定原子力発電施設に係る解体費用の見積額の90%相当額-前事業年度から繰り越された原子力発電施設解体準備金の金額の90%相当額)×{当期の月数/(特定原子力発電施設に係る積立期間の月数-特定原子力発電施設の設置後初めて発電した日から前期末までの月数)}

〈取崩し(原則)〉

特定原子力発電施設につき、解体費用の額を支出した場合には、その支出した額に相当する金額を取り崩して、益金に算入する。

〈種類〉

(5) 特定原子力施設炉心等除去準備金〔措法57の4の2

  適用期限 令和5.3.31

〈適用対象者等〉

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に規定する廃炉等実施認定事業者である青色申告法人

〈積立限度額〉

 損傷した炉心等の除去に係る費用の支出に備えるため、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に廃炉等積立金として積み立てた金額

〈取崩し(原則)〉

 損傷した炉心等の除去に係る費用の支出をした場合には、その支出した額に相当する金額を取り崩して益金に算入する。

〈種類〉

(6) 異常危険準備金〔措法57の557の6

〈適用対象者等〉

  • ① 損害保険事業又は損害共済事業を営む青色申告法人
  • ② 損害保険事業を営む青色申告法人

〈積立限度額〉

  • ① 保険又は共済に係るもの(自動車保険及び自動車共済等を除く。)
      保険又は共済の種類によって、それぞれ積立率が定められている(措法57の5①、措令33の2⑤)。
      なお、火災保険等(下記(イ))及び火災等共済組合等の共済(下記(ロ))については、次のとおり、積立率の特例が設けられている(措令33の2⑲⑳)。
    • (イ) 平成8年4月1日から令和4年3月31日までの間に開始する各事業年度(その各事業年度終了の日において異常危険準備金の金額が当年度保険料等×(30/ 100)の金額を超える場合のその事業年度を除く。)に限り、正味収入保険料の6%(原則:2%)
    • (ロ) 平成5年4月1日から令和4年3月31日までの間に開始する各事業年度(その各事業年度終了の日において異常危険準備金の金額が当年度保険料等×(45/100)(再共済を行う協同組合連合会にあっては、60/100)の金額を超える場合のその事業年度を除く。)に限り、4%(原則:2%)
  • ② 原子力損害賠償責任保険又は地震保険に係るもの(措法57の6①、措令33の3②③)
    • (イ) 原子力保険……その事業年度の正味収入保険料の50%
    • (ロ) 地震保険……その保険に係る責任準備金の金額

〈取崩し(原則)〉

 異常災害損失が生じた場合又は原子力災害損失若しくは地震災害損失が生じた場合には、その損失の額に相当する金額を取り崩して益金に算入する。また、地震保険を除き、積立後10年を経過した場合には一定金額を取り崩して益金に算入する。

〈種類〉

(7) 関西国際空港用地整備準備金〔措法57の7

〈適用対象者等〉

 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律に規定する指定会社

〈積立限度額〉

 積立基準額又は累積限度基準額のいずれか低い金額(措法57の7①、措令33の4①②)

  • ① 積立基準額
      次の金額のうち、いずれか低い金額
    • (イ) 空港用地取得価額基準額
        指定会社の平成24年7月1日を含む事業年度開始の時における空港用地の帳簿価額の10分の1に相当する金額
    • (ロ) 所得金額基準額
        指定会社所得金額のうち、指定会社所得金額と新関西国際空港会社所得金額との合計額の20%に相当する金額を超える部分の金額
  • ② 累積限度基準額
      空港用地整備債務の額から、その適用事業年度終了の日における前事業年度から繰り越された関西国際空港用地整備準備金の金額を控除した金額

〈取崩し(原則)〉

 積立期間経過後の各事業年度終了の日において、繰り越された関西国際空港用地整備準備金を一定期間で均等に取り崩して益金に算入する。

〈種類〉

(8) 中部国際空港整備準備金〔措法57の7の2

〈適用対象者等〉

 中部国際空港の設置及び管理に関する法律に規定する指定会社

〈積立限度額〉

 積立基準額又は累積限度基準額のいずれか低い金額(措法57の7の2①、措令33の5①)

  • ① 積立基準額(中部国際空港用地取得価額基準額)
      指定会社の平成25年4月1日を含む事業年度開始の時における中部国際空港用地の帳簿価額(累積限度基準額)の10分の1に相当する金額
  • ② 累積限度基準額
      累積限度基準額から、その適用事業年度終了の日における前事業年度から繰り越された中部国際空港整備準備金の金額を控除した金額

〈取崩し(原則)〉

 積立期間経過後の各事業年度終了の日において繰り越された中部国際空港整備準備金を一定期間で均等に取り崩して益金に算入する。

〈種類〉

(9) 特定船舶に係る特別修繕準備金〔措法57の8、(措法21)〕

〈適用対象者等〉

 特定船舶(船舶安全法第5条第1項第1号(船舶の施設等の検査)の規定による定期検査を受けなければならない船舶(総トン数が5トン以上))を有する青色申告法人(措法57の8①)。

〈積立限度額〉

 次の場合の区分に応じ、それぞれに定める金額(措法57の8②)

  • ① 法人が特定船舶につきその事業年度終了の日までに特別の修繕を行ったことがある場合
      次の計算により計算した金額のうちいずれか少ない金額(措令33の6①②)
    • イ その特定船舶について最近において行った特別の修繕のために要した費用の額×(3/4)×(当該事業年度の月数/60(その船舶が船舶安全法第10条第1項ただし書に規定する船舶である場合には、72))
    • ロ その特定船舶について最近において行った特別の修繕のために要した費用の額×(3/4)-前年度から繰り越された特別修繕準備金の金額
        (注) 特別修繕予定日経過準備金額が生じた特定船舶については、当該特定船舶に係る特別の修繕が完了する日を含む事業年度の直前の事業年度までの間においては、繰入限度額はないものとされる(措令33の6①ただし書)。
  • ② 法人がその有する特定船舶につきその事業年度終了の時までに特別の修繕を行ったことがなく、かつ、その特定船舶と種類、構造、容積量、建造後の経過年数等について状況の類似するその法人の有する他の船舶(類似船舶)につき当該事業年度終了の時までに特別の修繕を行ったことがある場合
      次の計算により計算した金額のうちいずれか少ない金額(措令33の6④)
    • イ 類似船舶について最近において行った特別の修繕のために要した費用の額×(当該船舶の総トン数/類似船舶の総トン数)(A)×(3/4)×(当該事業年度の月数60(その船舶が船舶安全法第10条第1項ただし書に規定する船舶である場合には、72))
    • ロ Aの金額×(3/4)-前事業年度から繰り越された特別修繕準備金の金額
    •  (注) 特別修繕予定日経過準備金額が生じた特定船舶の扱いについては、①と同じ。
  • ③ その他の場合(その特定船舶について特別の修繕の実績がない場合で、②以外の場合)
      種類、構造、容積量、建造後の経過年数等についてその特定船舶と状況の類似する他の船舶につき最近において行った特別の修繕のために要した費用の額を基礎として、法人が申請に基づき、税務署長が認定した金額をもとに次の計算により計算した金額のうちいずれか少ない金額(措令33の6⑥)
    • イ 納税地の税務署長が認定した金額×(3/4)×(当該事業年度の月数/60(その船舶が船舶安全法第10条第1項ただし書に規定する船舶である場合には、72))
    • ロ 納税地の税務署長が認定した金額×(3/4)-前事業年度から繰り越された特別修繕準備金の金額
       (注) 特別修繕予定日経過準備金額が生じた特定船舶の扱いについては、①と同じ。

〈取崩し(原則)〉

 特別修繕準備金に係る特定船舶(準備金設定特定船舶)について特別の修繕のために要した費用の額を支出した場合には、その支出をした日におけるその準備金設定特定船舶に係る特別修繕準備金の金額のうち、その支出をした金額に相当する金額は、その支出をした日を含む事業年度の所得の金額の計算上、益金に算入する。また、準備金設定特定船舶について特別の修繕が完了した場合には、その完了した日における当該準備金設定特定船舶に係る特別修繕準備金の金額に相当する金額を取り崩して益金に算入する。

 なお、左記①の(注)の「特別修繕予定日経過準備金額」とは、各事業年度終了の日において、前事業年度から繰り越された準備金設定特定船舶に係る特別修繕準備金の金額のうちにその準備金設定特定船舶に係る特別の修繕の完了予定日の属する事業年度終了の日の翌日から2年を経過したものをいい、その2年を経過した日を含む事業年度終了の日における当該準備金設定特定船舶に係る特別修繕準備金の金額を、当該事業年度の所得の金額の計算上、5年均等で益金に算入する。

〈種類〉

(10) 探鉱準備金又は海外探鉱準備金〔措法58

  適用期限 令和4.3.31

〈適用対象者等〉

  • ① 鉱業を営む青色申告法人
  • ② 国内において主として鉱業を営む青色申告法人及び国内鉱業者に準ずる青色申告法人

〈積立限度額〉

  • (1) 探鉱準備金
      次のうちいずれか少ない金額(措法58①)
    • ① 採掘した鉱物の販売による収入金額の12%
    • ② ①の収入金額に係る所得金額の50%
  • (2) 海外探鉱準備金
      海外自主開発法人から取得した鉱物の販売による収入金額に係る所得金額の40%(措法58②

〈取崩し(原則)〉

 新鉱床探鉱費又は海外新鉱床探鉱費の特別控除の適用を受ける場合又は積立後5年を経過した場合に取り崩して、益金に算入する。

〈種類〉

(11) 農業経営基盤強化準備金〔措法61の2措法24の2)〕

  適用期限 令和5.3.31

〈適用対象者等〉

 農業経営基盤強化促進法に規定する農業経営改善計画の認定を受けた農地法に規定する農地所有適格法人である青色申告法人

 令和4年4月1日以後に開始する事業年度にあっては、上記の法人のうち、農地中間管理事業の推進に関する法律第26条第1項の規定により公表された協議の結果において、市町村が適切と認める区域における農業において中心的な役割を果たすことが見込まれる農業者とされたものに限る。

〈積立限度額〉

 次のうちいずれか少ない金額以下の金額(措法61の2①)

  •  ① 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律に規定する交付金等の額のうち農業経営基盤強化に要する費用の支出に備えるための金額
  •  ② 支出した寄附金の額の全額を損金の額に算入して計算した場合の所得の金額

〈取崩し(原則)〉

 農用地等を取得した場合の課税の特例の適用を受ける場合又は積立後5年を経過したときに取り崩した金額に相当する金額等を益金に算入する(措法61の2②③参照)。

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