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適格合併により、合併法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、その合併法人に移転をした資産及び負債の適格合併に係る最後事業年度終了の時の帳簿価額による引継ぎをしたものとして、各事業年度の所得の金額を計算する(法62の2①)。
適格分割型分割により分割承継法人にその有する資産又は負債の移転をしたときは、その分割承継法人に移転をした資産及び負債の適格分割型分割直前の帳簿価額による引継ぎをしたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する(法62の2②)。
分割法人が分割承継法人から交付を受けた分割承継法人又は分割承継親法人の株式の価額は、その適格分割型分割に係る純資産価額(令8①六)に相当する金額とする(法62の2③、令123の3②)。
法人が適格合併等により被合併法人等から資産等の移転を受けた場合には、被合併法人等の適格合併等の直前の帳簿価額により資産等の引継ぎを受けたものとされる(令123の3③)。
備考
帳簿価額は、適格合併に基因して譲渡等修正事由(令9①六)が生ずる場合には、帳簿価額修正額を加算した金額とする(令123の3①)。
【令和4年4月1日以後の上記帳簿価格の記載】
帳簿価格は、適格合併に基因して通算終了事由(令119の3⑤)が生ずる場合には、簿価純資産不足額を加算し、又は簿価純資産超過額を減算した金額とする(令123の3①)。
(1) 適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡
適格分社型分割により分割承継法人にその有する資産又は負債を移転したときは、その分割承継法人に移転をした資産及び負債の適格分社型分割直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する(法62の3①)。
法人が適格分社型分割により分割法人から資産等の移転を受けた場合には、分割法人の適格分社型分割の直前の帳簿価額により資産等を取得したものとされる(令123の4)。
備考
分割法人が分割により交付を受ける分割対価資産の一部のみを分割法人の株主等に交付をする分割が行われたときは、分割型分割と分社型分割の双方が行われたものとみなす(法62の6①)。
(2) 適格現物出資による資産等の帳簿価額による譲渡
適格現物出資により被現物出資法人にその有する資産の移転をし、又はこれと併せてその有する負債の移転をしたときは、その被現物出資法人に移転をした資産及び負債の適格現物出資直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、各事業年度の所得の金額を計算する(法62の4①)。
法人が適格現物出資により現物出資法人から資産等の移転を受けた場合には、現物出資法人の適格現物出資の直前の帳簿価額により資産等を取得したものとされる(令123の5)。
(3) 現物分配による資産の譲渡
現物分配法人が残余財産の全部の分配又は引渡し(適格現物分配を除く。)により被現物分配法人等にその有する資産の移転をするときは、その被現物分配法人等に移転する資産の残余財産の確定の時の価額による譲渡をしたものとして、現物分配法人の各事業年度の所得の金額を計算する(法62の5①)。
残余財産の全部の分配又は引渡しにより被現物分配法人等に移転する資産の移転による譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額は、残余財産の確定の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する(法62の5②)。
現物分配法人が適格現物分配又は適格株式分配により被現物分配法人その他の株主等にその有する資産の移転をしたときは、被現物分配法人その他の株主等に移転をした資産の適格現物分配又は適格株式分配の直前の帳簿価額(適格現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、残余財産の確定の時の帳簿価額)による譲渡をしたものとして、現物分配法人の各事業年度の所得の金額の計算をする(法62の5③)。なお、この場合における被現物分配法人の資産の取得価額は、帳簿価額によるものとされる(令123の6①)。
被現物分配法人が適格現物分配により資産の移転を受けたことにより生ずる収益の額は、被現物分配法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない(法62の5④)。
現物分配法人の残余財産の確定の日の属する事業年度に係る事業税の額及び特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律の規定による特別法人事業税の額は、現物分配法人のその事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する(法62の5⑤)。
備考
「譲渡利益額」とは、残余財産の確定の時の価額が当該譲渡に係る原価の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
「譲渡損失額」とは、譲渡に係る原価の額が残余財産の確定の時の価額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
残余財産の全部の分配である適格現物分配は、残余財産の確定の日の翌日に行われたものとされる(令123の6②)。
(4) 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入
法人と支配関係法人との間でその法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とする特定適格組織再編成等が行われた場合には、その法人の特定適格組織再編成等の日の属する事業年度開始の日から3年を経過する日(その日がその法人とその支配関係法人との間に最後に支配関係を有することとなった日以後5年を経過する日後となる場合は、その5年を経過する日)までの期間内の特定引継資産又は特定保有資産のそれぞれの譲渡等損失額(譲渡等による損失の額が譲渡等による利益の額を超える部分の金額をいう。)は、その法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない(法62の7①)。
なお、次に掲げる資産については、上記の規定は、適用されない(法62の7④⑤)。
備考
「特定適格組織再編成等」とは、適格合併若しくは非適格合併で法人税法第61条の13第1項(令和4年4月1日以後は、第61条の11第1項)の規定の適用があるもの、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配のうち、共同で事業を行うためのものに該当しないものをいう。
「特定引継資産」とは、特定適格組織再編成等により法人が支配関係法人から移転を受けた資産で支配関係発生日前(令和4年4月1日以後は、支配関係発生日の属する事業年度開始の日前)から有していたものをいう(法62の7②一)。
「特定保有資産」とは、法人が支配関係発生日の属する事業年度開始の日前から有していた資産をいう(法62の7②二)。