- 1 連結納税の開始又は加入に伴う資産の時価評価損益
- (1) 連結納税の開始に伴う資産の時価評価損益(法61の11、令122の12、規27の13の2)
連結納税の承認を受ける他の内国法人のうち連結納税の開始時に内国法人との間に完全支配関係を有するものが連結開始直前事業年度(最初の連結親法人事業年度開始の日の前日(他の内国法人が時価評価法人である場合には、最初の連結親法人事業年度終了の日)の属する事業年度をいう。)終了の時に有する時価評価資産については、その評価益又は評価損を計上する。ただし、次に掲げる法人を除く。 - ① 連結納税開始前5年以内にされた株式移転に係る株式移転完全子法人である法人との間にその内国法人による完全支配関係がある場合のその法人
- ② 内国法人と法人との間にその内国法人による完全支配関係が長期(5年超)継続している場合のその法人
- ③ 内国法人又はその内国法人との間にその内国法人による完全支配関係がある法人(完全子法人)がその内国法人との間に完全支配関係がある他の法人を設立し、その支配関係が継続している場合のその他の法人
- ④ 内国法人又は完全子法人を株式交換等完全親法人とする適格株式交換等が行われ、その適格株式交換等に係る株式交換等完全子法人であった法人との間にその内国法人による完全支配関係がある場合のその法人
- ⑤ 内国法人が適格合併等により法人との間にその内国法人による完全支配関係を有することとなり、その支配関係が継続している場合のその法人
- ⑥ 法令の規定に基づく株式の買取り等により内国法人が法人との間にその内国法人による完全支配関係を有することとなり、その支配関係が継続している場合のその法人
- (2) 連結グループへの加入に伴う資産の時価評価損益(法61の12、令122の12、規27の13の2)
連結親法人による完全支配関係を有することとなった他の内国法人が連結加入直前事業年度(完全支配関係を有することとなった日の前日(他の内国法人が時価評価法人である場合には、最初の連結親法人事業年度終了の日)の属する事業年度をいう。)終了の時に有する時価評価資産については、その評価益又は評価損を計上する。ただし、次に掲げる法人を除く。 - ① 連結親法人等がその連結親法人等による完全支配関係がある法人を設立した場合のその法人
- ② 連結親法人又は連結子法人が適格株式交換等により法人の発行済株式の全部を有することとなった場合のその法人
- ③ 適格合併等に係る被合併法人等との間に、その被合併法人等による完全支配関係があった法人でその適格合併により連結親法人との間に、その連結親法人による完全支配関係を有することとなった場合のその法人
- ④ 法令の規定に基づく株式の買取り等により連結親法人と他の法人との間にその連結親法人による完全支配関係を有することとなった場合のその他の法人
- (3) 時価評価資産
上記(1)及び(2)による時価評価の対象となる資産は、固定資産、土地等、有価証券、金銭債権及び繰延資産で次に掲げるもの以外のものをいう(令122の12①)。 - ① 前5年内事業年度等において一定の圧縮記帳の規定の適用を受けた減価償却資産
- ② 売買目的有価証券
- ③ 償還有価証券
- ④ 資産の帳簿価額が1,000万円未満のもの
- ⑤ 含み損益が資本金等の額の2分の1又は1,000万円のいずれか少ない金額未満のもの
(注) 上記④⑤の金額基準の判定単位は、法人税法施行規則第27条の15第1項(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入)と同様の区分による(規27の13の2①)。 - ⑥ 法人税法第4条の2に規定する他の内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(清算中のもの、解散をすることが見込まれるもの、適格合併を行うことが見込まれるものに限る。)の株式又は出資でその価額が帳簿価額に満たないもの
- ⑦ 連結納税の開始日の自己を被合併法人とする合併により連結グループ外に移転するもの
- ⑧ 連結納税の開始日の自己を被合併法人とする合併に伴って離脱する法人の有するもの
- ⑨ 法人税法第4条の2に規定する内国法人(連結親法人又は連結親法人となる法人)との間に完全支配関係を有することとなった他の内国法人(連結子法人となる法人)で完全支配関係を有することとなった日以後2月以内に一定の事実が生ずることにより完全支配関係を有しなくなるものの保有するもの
- 2 完全支配関係がある法人の間の取引に係る繰延損益(法61の13④)
連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴い資産の時価評価損益の計上を行う他の内国法人が連結開始直前事業年度又は連結加入直前事業年度以前の各事業年度において、完全支配関係がある法人の間の取引に係る損益の繰延制度の適用を受けた法人である場合には、原則としてその繰延損益を連結開始直前事業年度又は連結加入直前事業年度において計上する。 - 3 リース譲渡に係る繰延損益(法63③)
連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴い資産の時価評価損益の計上を行う他の内国法人が、連結開始直前事業年度又は連結加入直前事業年度において延払基準を適用している場合において、その繰り延べているリース譲渡に係る損益については、原則として、連結開始直前事業年度又は連結加入直前事業年度において計上する。
時価評価が行われた時価評価資産の評価損益は、資産の評価益の益金不算入の規定(法25①)及び資産の評価損の損金不算入の規定(法33①)を適用しない(令122の12③)。