ミニファイル 監査人の再任

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会計監査人の任期は,選任後1年以内に終了する事業年度のうち,最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである( 会社法338条 1項)。当該定時株主総会で別段の決議がされなかった場合,つまり不再任の決議がされなかった場合は,その定時株主総会において会計監査人は再任されたものとみなされる( 会社法338条 2項)。すなわち,会計監査人を再任する場合は,株主総会で特段の決議は必要とされない。会計監査人の選解任等の議案を作成することもないので,株主総会参考書類への記載も不要だ。

これに対して,会計監査人を再任しない場合は,会計監査人を不再任とする議案を株主総会に提出する。議案内容は監査役または監査役会が決定する。株主総会参考書類には,①会計監査人の氏名または名称,②監査役等が議案の内容を決定した理由,③会計監査人の意見があるときはその意見の内容の概要,を記載しなければならない( 会社法施行規則81条 )。

なお,会計監査人を再任しないケースでは,新たな会計監査人の選任議案を決定するために要する期間にも留意が必要だ。日本監査役協会の「改正会社法及び改正法務省令に対する監査役等の実務対応」では,「株主総会の提出議案を決定する時期に判断したのでは,定時株主総会での不再任議案の提出は事実上できないため,不再任の可能性がある場合には,事業年度末までには判断しておく必要があるだろう」としている。