ミニファイル 評価性引当額

( 39頁)

繰延税金資産は,将来減算一時差異が解消するときに課税所得を減少させ,税金負担額を減額すると認められる範囲でのみ計上可能だ。その範囲を超える部分は控除しなければならない。評価性引当額とは,回収可能性がないと判断し,繰延税金資産から控除した金額のことを指す。

評価性引当額は,「繰延税金資産及び繰延税金負債の発生原因別の主な内訳」において,その金額の開示が求められている( 財規第8条の12 )。この点,利用者からは,「繰延税金資産のどの部分にリスクがあるのか,わかりにくい」との指摘が出ている。

ASBJの税効果会計専門委員会では,開示の拡充も検討課題の一つ。利用者からの指摘を踏まえ,追加的に「評価性引当額の内訳」を開示する案が出ている。例えば,将来減算一時差異や,繰越欠損金に係る情報を開示することを検討中だ。繰延税金資産のうちどの部分について計上不能とされているのか等が明確になり,利用者にとって有用と考えられるためだ。

具体的には,評価性引当額の合計を示す現在の形式は踏襲し,別の表においてその内訳を開示すること等が検討されている。開示の方法として,①繰越欠損金に係る評価性引当額の合計と将来減算一時差異に係る評価性引当額の合計を分けて開示する,②主な項目ごとの内訳を開示する,の2つの案が示されているところだ。今後は,作成者の実務負担を考慮しながら検討を進めていく。