IFRSをめぐる動向 第74回 IFRS第3号「企業結合」の適用後レビューの検討状況

あらた監査法人 公認会計士 富田 真史

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1.はじめに

本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)の月次合同会議等での討議内容に基づき,IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。今回は,IASBによるIFRS第3号「企業結合」に関する適用後レビュー(Post-implementation review)の動向について取り上げます。IASBは,2013年7月の会議で,IFRS第3号の適用後レビューの計画に合意し,現在のところ2015年第2四半期中のフィードバック・ステートメント公表を目標として検討が進められています。以下では,IFRS第3号の適用後レビューの概要と現在の検討状況について,適用後レビューの概要を確認したうえで解説します。

なお,文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りしておきます。

2.IASBによる適用後レビューの概要

IASBによる適用後レビューとは,国際財務報告基準(IFRS)の開発や大規模な修正の過程で議論の多かった論点などを対象に,基準が意図したとおりに機能しているかどうかを確認するための仕組みです。適用後レビューは,通常,基準の新たな...