Q&Aコーナー 気になる論点(134) 企業情報開示の議論(3)

‐コーポレートガバナンス・コード‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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東京証券取引所(東証)は,2015年5月13日にコーポレートガバナンスコード(CG)を有価証券上場規程の別添として定めています( 本誌 No.3212 (2015年5月18日号)参照)。これは,企業情報開示の議論と関係するでしょうか。

この定めにより,上場会社においては,まず,従来から取引所が定めていたCG報告書の記載内容が拡大します。さらに,CGコードにおいて,取締役会は,開示・提供される情報,とりわけ非財務情報が,正確で利用者にとって分かりやすく,有用性の高いものとなるようにすべきであるとしています。

<解説>

CGコード(1)‐経緯

東証では,2004年3月に「上場会社コーポレートガバナンス原則」を公表し,その後,国内外における情勢変化を踏まえて,2009年12月に改正し,上場会社は,同原則を尊重してCGの充実に取り組むよう努力することとしてきました。

こうした中,2014年6月に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014」では,持続的成長に向けた企業の自律的な取組みを促すために,金融庁と東証を共同事務局とする有識者会議において,秋頃までを目途に基本的な考え方を取りまとめ,東証が,2015年...