有限責任監査法人トーマツ　公認会計士　山内達夫
有限責任監査法人トーマツ　公認会計士　下川祐貴子

Ⅰ．はじめに

平成27年５月13日に東京証券取引所は「コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う有価証券上場規程等の一部改正について」を公表し，有価証券上場規程の別添として「コーポレートガバナンス・コード（以下，「本コード」という。）」を確定するとともに，関連する上場制度の整備が行われ，平成27年６月１日より適用されることとなった。 ^①

本稿では，本コードの内容そのものについての解説ではなく，「実務をいかに推進していくのか」というプロジェクトの進め方について複数回にわたってご紹介する。なおプロジェクトの進め方は様々な方法があり，各社の事情に応じて検討することになるが，本稿が本コードの適用対象となる上場会社の担当者がプロジェクトを効果的に推進していくうえでの参考となれば幸いである。本稿において意見にわたる部分は，いずれも筆者の私見であり，筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りする。

Ⅱ．コード導入の背景

プロジェクトを推進するうえで，なぜ本コードが導入されたのか，という背景を理解すること，特に社長に理解してもらうことは社内の推進力を高めるために非常に重要であるため，冒頭に触れておく...