先読み 会計・監査トレンド Topic 2 地方公共団体の監査制度

仰星監査法人 公認会計士 里見 優

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はじめに

国や地方公共団体及び独立行政法人などの公的機関に対する監査を,公監査という。納税者の税金をもとに行政サービスを提供しているこれらの団体は,納税者に対して説明責任がある。その説明責任の履行に対して,信頼性を付与するのが,公監査である。本稿では,地方公共団体における監査委員の一般監査と,包括外部監査を中心に解説する。

国における監査は,会計検査院が担っている。会計検査院は,国の収入支出の決算を確認するため,収入支出の決算を検査し,常時会計検査を行って会計経理を監督し,その適正を期し,かつ,是正を図るとともに,正確性,合規性,経済性,効率性及び有効性の観点その他会計検査上必要な観点から検査を行う(憲法第90条,会計検査院法第20条,21条)。

地方公共団体監査の現状

地方公共団体では,監査を本来的に担うのは,監査委員である。監査委員は,地方公共団体における行政事務の執行機関のひとつであり(地方自治法第180条の5第1項4号),例えば都道府県における定数は4人である(同法第195条第2項)。監査委員は,行政運営に関し優れた識見を有する者及び議員のうちから,地方公共団体の長が議会の同意を得て,...