厳選!現場からの緊急相談Q&A 第14回 不動産に係るリース取引

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 佐瀬 剛

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経理部員 :当社では,日本全国に展開する事業拠点をリースにより調達することが多く,事業拠点の開設のたびにファイナンス・リースに該当するかどうかの判定に苦労しています。担当の変更により,初めてリース会計を担当することになったのですが,どのような点に留意する必要があるのでしょうか?
会計士 :それでは,今回は,不動産に係るリース取引の会計処理について,基本的な考え方を復習しましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

Q1 不動産に係るリース取引の基本的な考え方

不動産に係るリース取引(借手)について,ファイナンス・リース取引の判定にあたっての基本的な考え方について教えてください。

◆Answer◆

―Key Point―

・不動産のリース取引は, リース取引に関する会計基準の適用指針 (以下「リース適用指針」といいます。)の適用範囲に含まれます。

・リース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかについては,「解約不能」「フルペイアウト」の要件を満たす必要がありますが,事実上解約不能であるかどうかは,契約条項の内容,商慣習等を勘...