ミニファイル 多重代表訴訟制度

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多重代表訴訟制度とは,企業グループの最上位に位置する最終完全親会社等の株主が,子会社の取締役等の責任について代表訴訟を提起できる制度のことである。本年5月施行の改正会社法で新設された。

平成9年に持株会社が解禁されて以降,企業グループが多数形成されることとなった。グループの中核会社が持株会社の完全子会社となるケースもある。ところが,改正前の会社法では,親会社の株主が,子会社の取締役等の責任を追及するために代表訴訟を提起することは認められていなかった。この点が問題視され,一部には反対の声があったものの,制度新設に至った経緯がある。

多重代表訴訟を提起するにあたっては,一定の要件を満たす必要がある。例...