使おう!管理会計~企業経営に役立つノウハウ 第9回 Ⅲ 管理会計の応用メニュー(戦略的財務企画・構想力を高めよう!)

 公認会計士・税理士 和田 正次

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1 ケーススタディ:損益分岐点と資本コストを活用した部門別利益予算管理

使おう!管理会計も9回目,最終章に入ってきました。これより先は管理会計の応用編として,ケーススタディを中心としたより実践的な解説を行います。

今回は比較的短・中期の会社の将来を見据えた財務企画・構想力を高めていただくためのケーススタディを用意しました。損益分岐点と資本コストを活用した部門別利益予算管理です。ケーススタディに関連して理解が必要な論点として,本社費用の配分,安全余裕率の解説を交えて進めてまいります。

1.衣料品販売B社の事業部門別見積(予算)損益計算書

以下は,高級衣料品およびその関連商品の販売を行っているB社の各事業部門別見積損益計算書です。本社は収益を生まず,そのコスト(本社費用)は共通費として事業部の予定売上高と従業員数を基準に配賦しております (注1) 。なお,B社では部門営業利益を各事業部門における管理可能利益としております。

X01年予算(単位:千円)全社A事業部B事業部C事業部売上高2,700,000900,000180,0001,620,000売上原価1,319,700376,00065,000878...