愛知工業大学　教授　岡崎　一浩

４月23日，ニューヨークタイムズ電子版は，クリントン財団がカナダのウラン鉱山開発大手「ウラニウム・ワン」から寄付を受けた事を報じた。その寄付は同社がロシア国営企業へ売却される交渉の時期と重なり，その時にヒラリー氏が国務長官を務めていた時期とも重なると指摘される。これがヒラリー・クリントン氏への逆風になっている。そのような政治的な問題ではあるが，４回にわたり235万ドルとされる寄付が財団から見て巨額かどうか，また情報公開について検証しよう。

クリントン財団の創立はクリントン大統領退任の2001年で，財団の活動目的には人類の健康，女性問題，子供の肥満問，疫病予防，経済発展，気候変動としている。正式名はBill, Hillary ＆ Chelsea Clinton Foundation，職員も300名以上いる。長女チェルシー・クリントンは副理事長，ビル・クリントン元大統領は理事で，ヒラリー氏は財団には名を冠しているが理事ではない。

同財団のホームページには連結財務諸表が公開されている。2013年の収入総額は２億9,500万ドルで，内訳は寄付金が約２億ドル，他団体からの助成金は9,300万ドルであ...