ハーフタイム 経理部と外部監査人に非はないのか

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東芝の第三者委員会報告書によると,不適切な会計処理は外部からは発見しにくい巧妙な形で行われていたという。だが,すべてがそのような形で行われていたとばかりいえない。次の例は,どうみても"不器用な不適切会計"だったように見える。

その一つは映像事業部門における連結未実現利益の消去もれである。東芝から海外現地法人に販売する製品については,一時的に増加させた価格で意図的に販売することがあり,海外現地法人側では在庫額が過大となっていた。連結決算では,この場合の東芝単体の販売利益のうち,子会社在庫部分に係る単体利益は,連結決算上では未実現利益として完全に消去されて然るべきである。ところが東芝では,事業部平均利益率を消去率として採用していたため,未実現利益の全部または一部が消去されなかった(183頁)。現法ごとの個別在庫別の未実現利益計算を省略して,赤字部門の赤字を含めた事業部平均利益率を採用していたのは,たしかに巧妙である。しかし,グループ連結業績を適切に把握するには,平均法はあまりにも杜撰であり,連結原則の趣旨を大きく逸脱している。

海外子会社との取引では,海外派遣経理責任者と緊密な連携を執らなけれ...