書評 柳澤義一・相川高志・加藤厚・弥永真生著『さて,IFRSを導入する! 導入して気づく実務のポイント』

(清文社刊/本体2,400円+税)

 公認会計士 関根愛子

( 32頁)

本書は,IFRSを導入した中堅上場会社の監査を担当した小規模な監査法人の体験をもとに,その中心メンバーである新創監査法人の柳澤義一,相川高志の各氏が,「IFRS導入の実録」,「実際にIFRSを導入してみてはじめてわかった実務上のポイント」について,実務家の立場から,その体験を記したものである。また,本書の前半には,日本におけるIFRS導入の中心的な役割を担ってこられ,本書の企画に賛同された加藤厚,弥永真生の両氏が「IFRSを巡る内外の動向と今後の展望」を執筆されている。

第1編の「IFRSを巡る内外の動向と今後の展望」においては,会計基準の国際的統一のニーズにより1973年に国際会計基準委員会が設立されたという国際会計基準設定の黎明期以降,実務面における会計基準の国際的統一という高い理想の実現に向けての経緯を振り返ると共に,現状を分析し,今後のIFRSのあり方と将来の展望が語られており,IFRSの導入を検討している企業をはじめ,関係者にとって大変興味深い内容となっている。

第2編の「IFRS導入の実録」においては,IFRS導入のきっかけ,プロジェクトチームの発足から,IFRS導入の具体的な...