基礎から学ぶ―IFRS保険会計 第17回 有配当契約‐IASBによる再審議

有限責任あずさ監査法人 公認会計士 三輪 登信
 公認会計士 藤原 初美

( 28頁)

1.はじめに

有配当契約 について,本連載第15回では,公開草案「保険契約」(ED/2013/7)(以下,「再公開草案」)の提案する会計処理の概要及び再公開草案に対して寄せられたコメント等を,本連載第16回では,CFOフォーラム が提案する代替測定アプローチ等を解説した。本稿では,有配当契約に関する最近のIASBの再審議について解説する。なお,本文中の意見に関する部分は筆者の私見である。

2.変動手数料アプローチ

(1)有配当契約の性質および会計処理

有配当契約を販売する保険会社等は,保険契約者から受領した保険料を原資として金融商品等(裏付資産等)に投資を行い,裏付資産等から得られるリターンを,有配当契約に係る配当金や給付金等の支払いに充当する。ただし,有配当契約の裏付資産等から得られるリターンの全てが保険契約者に支払われるのではなく,その一部または一定割合は保険会社等に帰属する。IASBは,有配当契約の裏付資産等のリターンのうち保険会社等に帰属する部分(企業持分)の性質をどのように捉えるかによって有配当契約の会計処理は異なると考えており,以下の2つの異なる見解を検討した。

【見解A】保険会社等...