中国子会社の見える化 第5回 税務の関連情報

有限責任あずさ監査法人 公認会計士 増田 進
 公認会計士 紫垣 昌利
 米国公認会計士 中村 祥子

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「中国子会社の見える化」のためには,会社を構成する情報を様々な角度から正確に捉える必要があります。今回は,「税金」の面から会社を見ていきます。中国子会社に係る代表的な税金である「企業所得税」や「増値税」,「PE課税」,「移転価格税制」を取り上げます。税務の関連情報として主な資料は以下の通りです。

1.中国子会社を取り巻く税制

(1)企業所得税

企業所得税法は,中国国内に設立された企業または実際の管理機構が中国にある企業については,「中国国内源泉所得及び中国国外源泉所得」を課税対象とすると規定しています(企業所得税法第3条)。外国の法律に基づいて設立され,かつ実際の管理機構が中国になくても中国国内に拠点がある,または拠点はないが中国源泉所得を有する企業については,配当,利子,リース料,ロイヤリティー,キャピタルゲイン及びその他の中国を源泉とする所得が課税所得になります。

通常の企業であれば税率は25%ですが,国が重点的に保護するハイテク企業の場合は15%です。配当,利子,特許権使用料,財産譲渡所得等は20%の源泉徴収税が課されますが,日本は中国と「日中租税条約」を締結しているので,源泉徴収税率は...