空港コンセッションの現状~運営権会計に係る実務対応報告の開発に向けて~

国土交通省航空局 公認会計士 前田順一郎

( 24頁)

1.はじめに

今年は空港コンセッションの検討が大きく前進した。国管理空港の第一号案件となる仙台空港及び史上最大のPFIと言われる関西国際空港及び大阪国際空港(以下「関空伊丹」)については,順調に行けば来春から民間委託が開始される予定である。また,高松空港は平成30年4月頃,福岡空港も平成31年度の民間委託開始を目途とすることを公表している。地方管理空港等についても,兵庫県の但馬飛行場で既に民間委託が開始されているほか,静岡空港や神戸空港でも検討がなされている。

個別事案の検討が進む一方で,運営権に関する明示的な会計基準や実務指針は存在せず,何らかの指針等の必要性が指摘されてきた。「『日本再興戦略』改訂 2014」においても,運営権方式を活用する場合における事業環境を整備するために「更新投資の償却や税金などの費用処理について実務的な観点から整理を行う」ことが課題として示された。

このような状況の中,運営権制度を所管する内閣府の提言を受け,11月12日に開催された財務会計基準機構(FASF)の第25回基準諮問会議において,企業会計基準委員会(ASBJ)が運営権に係る会計上の取扱いについて新規テー...