平成28年度税制改正大綱を踏まえた税効果会計に適用する法定実効税率について

  経営財務編集部

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Ⅰ.はじめに

平成28年度税制改正の大綱(以下「大綱」という。)が,平成27年12月24日に閣議決定された。その中では,昨年度の税制改正に続き,法人税などの税率の引下げが織り込まれ,平成29年3月期の法人実効税率は,30%の大台を下回り,29.97%となる見込みである(計算方法の詳細は後述)。

また,平成27年12月10日には,企業会計基準委員会(ASBJ)より企業会計基準適用指針公開草案第55号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針(案)」(以下「税率変更適用指針(案)」という。)が公表された( 本号31頁 )。この税率変更適用指針(案)では,官報での「公布日」を基準として当期の決算に税率変更を反映するとしている現行の「公布日基準」を,税率変更を含む税法が国会で「成立した日」を基準として当期の決算に税率変更を反映する「成立日基準」に変更するという提案がなされている(意見募集期間は平成28年2月10日まで)。

ただし,税率変更は国会での成立・法令の公布のみで完結するものではない。地方税(法人住民税,法人事業税など)の税率については,各地方公共団体の条例により規定されており,地方税法が改正され...