ハーフタイム 今こそ,公認会計士の矜恃を示せ!

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東芝の不正会計問題により,監査法人で最大規模の新日本有限責任監査法人(以下,新日本)は,金融庁から監査上の不備等を指摘され,業務改善命令と3か月の新規契約締結業務の停止に加え,約21億円の課徴金納付命令に係る審判手続開始の決定がなされた。

今回の事案を前にした時,2006年5月,当時4大監査法人の一角をなしていた中央青山監査法人が,カネボウの粉飾事案に担当監査人が加担していたこと等から,金融庁から,同年7月から2か月間の全面的な業務停止処分を受けた時の状況が蘇るのである。同法人は,その後,みすず監査法人に名称変更して再出発を目指したものの,顧客企業の離散に歯止めがかからず,また,他の大監査法人からのパートナーを始めとしたスタッフの引き抜き等もあって,結局は,2007年7月に解散の憂き目を見たのである。

この時,誰もが実感したのは,監査法人の生命線は,社会からの「信頼・信用」に尽きるということである。したがって,長年にわたって築いてきた監査法人の信頼及び信用に一点でも傷がつく場合には,致命的な結末を余儀なくされるのである。しかし,大監査法人の場合,責任が問われた会計士はほんの一握りであり,彼...