平成28年3月期決算~Q&Aで分かる!会計&税務のポイントと対応策(上)

新日本有限責任監査法人 公認会計士 太田達也

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平成28年3月期決算の直前の時期を迎えます。最近の規則改正,会計基準等の改正,税制改正などを踏まえた適正な決算・申告を行う必要があります。

第1に,企業会計基準委員会から公表された「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」および「税効果会計に適用する税率に関する適用指針(案)」への実務対応が必要です。「平成28年度税制改正大綱」に法人税率等の引下げが盛り込まれましたが,税効果会計に適用する法定実効税率の再計算,繰延税金資産・繰延税金負債の修正が必要になります。

第2に,「企業結合に関する会計基準」および「連結財務諸表に関する会計基準」の改正への実務対応が必要です。連結財務諸表の表示方法にも直接影響する改正です。

第3に,平成27年度税制改正による法人税法,地方税法等の改正に対する実務対応が必要です。法人税法においては欠損金の繰越控除制度の見直しおよび受取配当等の益金不算入制度の見直し,地方税法においては法人住民税均等割や外形標準課税の改正への実務対応が必要不可欠です。

第4に,消費税法における国境を越えた役務の提供(電気通信利用役務の提供)に対する課税の取扱いの変更,美術品等に関する減価償却...