平成28年２月10日に開催された第329回企業会計基準委員会では，（1）IASB公開草案「IFRS実務記述書:財務諸表への重要性の適用」へのコメント対応，（2）税効果会計に関する実務指針の移管，（3）一括取得型による自社株式取得取引（ASR取引）に関する会計処理の検討について審議が行われた。

（1）については，これまでのASAF対応専門委員会及び企業会計基準委員会での検討を踏まえ，コメント・レター案の検討が行われた。具体的には，関係者との議論の結果として，本文書案は実際に生じている実務上の課題に取り組むことには有用ではないであろうという全般的な評価を踏まえて，本ガイダンスを実務記述書の形式で公表することは支持せず，IASBが財務諸表作成者及び監査人に遵守することを期待している事項と考えられる部分を強制力のあるガイダンスの一部としてIAS第８号や一般的な開示基準に組み込むとともに，それ以外は本文書の性質をより反映するように「教育文書」の形式で公表することを提案することや，本文書を早急に公表する必要はなく，開示に関する取組みにおける他の関連する作業の完了前に公表すべきではないことなどを内容と...