IFRSをめぐる動向 第83回 売却目的保有の非流動資産と非継続事業の論点に関する検討状況
PwCあらた監査法人 米国公認会計士 小柳 千佳子
1.はじめに
本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)の月次合同会議等での討議内容に基づき,IFRS をめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。今回は,IASBとIFRS解釈指針委員会(IFRS-IC)において継続的に検討されてきた売却目的保有の非流動資産と非継続事業に関する論点を取り上げ,特に非継続事業の表示に関する論点を中心に解説します。なお,文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りしておきます。
2.背景
(1)寄せられた論点の概要
IFRS-ICは,過去数年の間,IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に関連して関係者から寄せられたさまざまな適用上の論点を検討してきました。しかし,寄せられた論点に対応するためにはより広範囲の検討を要するものもあり,未だ結論に達していない論点が多くあります。
たとえば,図表1に示すような論点がこれまで寄せられ,検討が行われてきました。
【図表1】 検討されてきたIFRS第5号に関する論点の一覧
領域番号論点論点の概要範囲①売却目的保有の分類の範囲・売却や分配以外の方法(...
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