金融商品取引法上の連結財務諸表規則・開示府令等の改正の概要とこれを活用した上場事例

-すかいらーく社のIPOを例として-

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 弁護士(前金融庁総務企画局企業開示課 専門官) 佐藤光伸

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一 はじめに

国際会計基準(以下「IFRS」という。)の任意適用の促進にともない,平成25年10月28日に「連結財務諸表の用語,様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)が改正されたのを始め,IFRSの適用に伴う種々の改正が行われた。このような背景の下,平成26年10月9日,株式会社すかいらーく(以下「すかいらーく社」という。)は東京証券取引所に上場を果たした。すかいらーく社は,IFRSを適用して新規上場(以下「IPO①」という。)を果たした最初の事例であり,社会的にも大きく注目された大型のIPO案件であった。本稿では,平成25年10月28日の連結財務諸表規則の改正および平成26年8月20日に改正された「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「開示府令」という。)ならびに「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」(以下「監査証明府令」という。)における改正事項の概要について解説を行うとともに,すかいらーく社を始めとしたIFRSを適用してIPOを行った事例の紹介を行う。なお,本稿において意見にわたる部分は,筆者の個人的見解であり,筆者が現に所属し,または過去に所属し...