Q&Aコーナー 気になる論点(153) IASBのリース会計基準(3)

-リース負債における会計上の見積りの変更-

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 国際会計基準審議会(IASB)が,2016年1月に公表したIFRS第16号「リース」では,借手のリース負債において会計上の見積りの変更があった場合,プロスペクティブに処理することとしているのでしょうか。

はい。IFRS第16号では,リース負債を構成する将来リース料を見直した場合,残高(ストック)に関する影響は一時に認識するものの,損益(フロー)に関する影響は将来に向けて認識するという,広義のプロスペクティブ方式が採られています。

<解説>

借手の処理(1)‐当初測定

IFRS第16号では,原則としてすべてのリースについて,借手は,リース開始日に,[図表1]の金額で資産・負債を当初認識することとしています(22項)。

[図表1]

資産・負債当初測定使用権資産(23項‐24項)以下から構成される原価① リース負債の当初測定の金額② 前払リース料(受け取ったインセンティブを除く)③ 借手の初期直接原価(IDC)④ リース物件の解体,撤去,原状回復のために,借手に生ずる支出見積(棚卸資産を生産するための発生分を除く)リース負債(26項‐27項)以下から構成される未払リース料の現在価値① 固定リース料...